ニュース画像
圓通殿に安置された半僧坊(右上)のもとで営んだ大般若祈祷
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

遠州の仏法盛り立てる

臨済宗方広寺派管長 安永祖堂さん(62)

2018年5月2日付 中外日報(ひと)

安永祖堂さん

海外で禅の話をすると必ず「あなたは悟ったのか」と問われる。「少なくとも私は禅に救われた」と答えるという。

愛媛県出身。父は会社員だったが、祖父と叔父は臨済宗寺院の住職。6歳で交通事故に遭い、左足に後遺症が残った。中学生の頃から叔父の寺に出入りして仏教に興味を持ち、叔父を師に得度した。「出家の理由は一つではありませんが、如是、真如の言葉のように、ありのままであって良い、自分は自分であって良い。それを禅の世界で得たのは間違いない」

花園大で5年間非常勤講師を務めた後、45歳で教授。「今は研究者の立場ですが、本来育った宗門の世界に帰らせていただくのはありがたい。修行し直す思いで、大井際断老師をはじめ先達の方々の後を踏み、皆さんのご意見を頂き、方広寺の禅風、遠州の仏法を盛り立てたい」

花園大の学生時代、平田精耕老師の講義を聴き、老師が国内外で活躍するその姿に憧れた。卒業後は天龍僧堂に10年間在錫。平田老師から「世間でも修行を」と言われ、32歳で現在の自坊・松雲寺に入寺し、その後も5年間、毎月の大接心に通参した。入寺した頃から東西霊性交流に参加し、国内外のキリスト者とも交流が深い。

洋の東西を問わず、修行者の減少は現代の課題だが「僧堂は禅僧の基本であり、宗教としての禅の本質を忘れてはいけません」。花園大の前期講義を終了後、秋から方広寺に専従し、休単中の方広僧堂を11月から再開単する。室号は薔薇軒。松雲寺の山号から採った。この薔薇はローズではなくイバラを指す。

(萩原典吉)