ニュース画像
倒壊した日蓮宗妙徳寺(大阪府茨木市)の山門
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

「また来たい」お寺に

善光寺大勧進貫主 瀧口宥誠さん(84)

2018年6月13日付 中外日報(ひと)

瀧口宥誠さん

天台宗善光寺大勧進(長野市)の小松玄澄氏(84)の貫主解任をめぐる騒動からの立て直しを託された。5月25日の辞令親授式では、総本山比叡山延暦寺の内局でかつて部下として仕えた森川宏映座主から「以前からよく拝む方。必ずや仏天のご加護を頂かれて、乗り越えられる」と激励を受け、感極まって涙を流した。

山形県天童市の寺院に生まれた。戦後初めて比叡山の千日回峰行を満行した叡南祖賢氏に憧れて弟子入りし、比叡山で修行を積んだ。行院生時代には、千日回峰行中の葉上照澄氏に付き従って峰々を歩き回り、身をもって行の厳しさを体験した。

回峰のさなかに強烈な腹痛に襲われ、歩行困難になった。行く先に寺の明かりが見え、葉上氏に「休ませてほしい」と願い出ると、「もしあそこに明かりが見えていなかったらどうしていた」と問われた。どんな状況でも続けていかなければならない行の厳しさを思い知らされた。

その葉上氏から何度も聞かされたのが「一隅を照らす これ則ち国宝なり」との伝教大師の教えだ。「一隅を照らすとはどんなポストにあっても自身のベストを尽くすこと」という葉上氏の言葉を胸に、伝教大師の「忘己利他」と聖徳太子の「和を以て貴しと為す」の精神で、浄土宗の大本願や善光寺一山寺院との協調協和に努める。

7月で85歳となり、体力的な不安もある。それでも「大勧進への信仰を回復させ、お参りされた方に『また来たい』と思ってもらえるように、与えられた時間の中で一生懸命努力したい」。

(岩本浩太郎)