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多様な個性を大切に

同朋大学長 松田正久さん(70)

2018年7月18日付 中外日報(ひと)

松田正久さん

愛知教育大学長や同朋大を設置する同朋学園学監などを歴任し、5月に就任。少子化で大学の経営環境が厳しくなる中、浄土真宗を建学の精神とする大学ならではの存在感を発揮するヒントとして「多様性」を挙げる。

専門は素粒子物理学。「多様性」に注目するのは万民の平等救済を説く真宗の教えに加えて、「いろいろな層がいてこそ、良い研究ができる」という自然科学者としての信念がある。

近年の教育行政には実学を重視して、短期間で成果を求める傾向があるが、「“寄り道”なくしては良い研究はできないし、IQの高い人ばかりを集めて研究すればよいというわけでもない。多様な人々でつくる幅広い裾野や、多くの失敗を許容する余裕が必要だ」と指摘する。

大学経営の方針については、障害がある学生や定年退職後のシニア世代ら多様な個性を持った人々の積極的な受け入れ、同朋学園のほかの設置校である名古屋音楽大と名古屋造形大との連携強化など、学びや出会いの「相乗効果」への思いを語り、「定員260人の小さな大学だが、そうした中で一人一人を大切にした教育の質を上げることができれば」と話す。

「科学者は科学と学問を愛する以前に人間を愛さなければならない」。名古屋大在学中に師事した坂田昌一氏の教えを今も大切にしている。その教えの根底には「科学者の社会的責任」へのまなざしと共に「揺るぎない生き方の土台」を育むための基礎教養の重要性がある。混迷の現代だが、時代の変化に耐え得る価値観を提示する仏教精神に基づく教育に可能性を感じている。

(池田圭)