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人材育成の根本道場に

浄土宗西山禅林寺派管長 久我儼昭さん(67)

2018年10月3日付 中外日報(ひと)

久我儼昭さん

今年6月、浄土宗西山禅林寺派管長兼総本山永観堂禅林寺法主に就任した。過去に同派教学部長や宗務総長も歴任している。

僧侶としての原点は小学3年の夏。京都市下京区にある自坊・等善寺の住職だった父親が入院したため、代わりに盆参りを勤めた。まだ経典の漢字が読めなかった久我さんのために、父親が半紙に平仮名で経を書いてくれたという。その半紙は今でも大切に持っている。

得度したのは小学5年の時で、当日に法然上人御遠忌が行われた。香箱を法主に持っていく侍者を務めたが、衣を引っ掛けて経机を倒すという失敗をしてしまった。周りの檀信徒さんたちが優しくフォローしてくれたのが心に残っている。失敗をした自分を周囲の人が温かい目で見てくれていたことが、今まで僧侶を続けてこられた理由の一つだ。

30年以上前に、ある寺院で「ここでしか生きられない、ただここを掘り下げるだけ」という言葉を目にしたことが不思議と深く印象に残っている。今振り返ってみると、自分は僧侶としてのこの場を掘り下げて生きているのだと考えさせられる。

同派は末寺の数こそ少ないが、それが強みでもある。宗学院などに来た人を見ると、その寺族の顔が分かるほど親密な関係性を築いている。

仏法は人によって生かされる。禅林寺創建の真紹僧都は、ここが人づくりの研修道場になることを願った。「歴代の猊下がそうしてきたように、社会に貢献し、人材を育成する根本道場として大事にしていきたい」

(奥岡沙英子)