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「和解」のために働く

WCRP日本委員会理事長 植松誠さん(66)

2018年10月26日付 中外日報(ひと)

植松誠さん

「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい」――。聖書にあるパウロの言葉だ。赦し合い共に歩むことを務めとする宗教者の姿勢を示す言葉として仰いでいる。

世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会の理事長に9月28日、選出された。日本聖公会の首座主教を2006年から務めており、国際経験も豊か。理事長任期中、19年にドイツでWCRP世界大会、20年に東京でアジア宗教者平和会議(ACRP)大会と大きな会議が続く。核兵器廃絶や地球環境の保全などについて日本の立場を強く発信したい考えだ。

父親が牧師というクリスチャン家庭に育った。「私自身、もがきながら歩んできた」と語るように両親や教会に反発を覚えた青年時代。それでも聖職者を志したのには、米国留学時の「強烈な体験」があったからだ。

当時足を運んでいた教会の信徒代表は戦時中日本軍の捕虜となった男性で、「日本嫌い」で有名だった。しかし婚約者を呼んで行った結婚式で、その男性が花嫁の父親役を買って出てくれた。式後、涙を流す男性から「今日、戦争が終わった」と抱き締められた。

壮絶な「赦し」だった。戦後生まれの自分には無関係だと考えていたことが、自身の問題として立ち現れた。そういった人々のために、「和解」のために働く者として力を尽くしたいと願うようになった。

北海道在住で、広大な道内各地に点在している聖公会の各教会を、今でも定期的に自ら車を運転して訪れている。「信徒との交わりに癒やされ、力をもらっている」とほほ笑む。

(佐藤慎太郎)