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御親教する常磐井法主(中央)と復演を担当した栗原鑑学(左)
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緊張感持ち御修法に

真言宗豊山派総本山長谷寺化主 田代弘興さん(79)

2019年1月9日付 中外日報(ひと)

田代弘興さん

人形劇団出身の化主が平成最後の後七日御修法という「晴れ舞台」で大阿の大役に挑んでいる。

自坊は東京・荻窪の光明院で、地名の由来となった古刹。弘法大師空海と興教大師覚鑁に由来する「畏れ多い名前」は祖父が名付けた。大学を出て劇団に入ったきっかけは偶然に募集広告を見たこと。叔母に文学座の女優・たしろ之芙子がおり演劇界との縁があった。

劇団経験が僧侶になってからも役に立った。一つは稽古で日本舞踊、能、三味線、鼓などの伝統芸能に触れ、担い手が厳しく訓練する姿を見てきたこと。「鼓を触らせてもらった時、簡単に音を出せると思ったが、ポンという、あの乾いたきれいな音は出ない。よく文楽も見たが指先だけで感情を表すのは難しい。体験してきたから演者が重ねた苦労が分かる」

もう一つは様々な人と触れ合い、多くの業界を知ったこと。「僧として社会的活動をするとき、仏教界の常識だけで考えなかった。教誨師や宗務所の仕事にも生かせた」。教誨師は府中刑務所に真言僧が少ないからと頼まれて始めたが、教義について熱心に質問され、良い刺激となった。全真言宗教誨師連盟では宗派を超えて、名だたる大家に指導を受け、仲間を得た。「今回の御修法でもご縁の方々の子弟の出仕も少なくなく、宗派は違っても身内のような親しみを感じて心強い」

一方で気を引き締めることも忘れない。「先日全国放送の生中継に出演した時、スタッフの張り詰めた感覚が伝わってきた。舞台に出るときの胸の高鳴りを思い出した。緊張感をもって御修法に挑みたい」と語った。

(武田智彦)