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哲学者 梅原猛さん(89)(1/2ページ)

2014年4月9日付 中外日報(ほっとインタビュー)

親鸞の気持ちが分かる

今年、数えで90歳。長年、敬愛する親鸞の享年に並んだ。梅原猛さんが解明に挑んできた「最後」の日本人、親鸞。その実像を今、ようやく視界に捉えた。

(飯川道弘)

哲学者 梅原猛さん
1925年、宮城県生まれ。京都大文学部哲学科卒。日本文化の深層を探る「梅原日本学」で、99年に文化勲章受章。

親鸞への関心はいつごろからですか。

梅原京都大の哲学科には、西洋哲学だけでなく仏教を勉強する空気、伝統があったんですね。西田幾多郎さんは西洋哲学と禅を勉強し、独創的な哲学をつくった。それに対し後継者の田辺元さんは浄土真宗に引かれて『懺悔道としての哲学』を書いた。

禅と親鸞と。私は親鸞に引かれ、ずっと仏教をやってきたんですが、親鸞には分からない部分がたくさんあったんです。今年90歳になり、同じ年まで生きた親鸞の気持ちが分かるところも出てきた(笑い)。秋に親鸞についての大部の本を出します。

近年、研究が進んだと。

梅原(市井の研究者の)佐々木正さんが『親鸞始記 隠された真実を読み解く』(1997年)という本を書き、今まで偽物とされてきた存覚(親鸞の玄孫)の伝記『親鸞聖人正明伝』が「偽物ではないんじゃないか」と言った。親鸞始記に掲載されている正明伝を何遍も読んで「存覚の著書に間違いない」といろいろな点から思えるようになってきました。

本願寺教団では大正時代に親鸞に対する文献批判が起こり、覚如(存覚の父)の書いた『親鸞聖人伝絵』と「恵信尼文書」以外は史料として取るに足りないということになった。教団で長い間語り継がれてきた(親鸞の妻の)玉日の伝承も否定されてしまった。

そうして出てきた親鸞の伝記を読むとね、ちっとも面白くないんですよ。親鸞の人生が非常に平凡です。(恵信尼と)結婚したのは性欲が抑えられなかったからと。そんなばかな(笑い)。

なぜ正明伝を認めないのかというと(真宗高田派の正統性を主張する)『高田開山親鸞聖人正統伝』と共に正明伝が専修寺派(高田派)から出たからです。