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社会学者 上野千鶴子さん(65)(1/2ページ)

2014年5月14日付 中外日報(ほっとインタビュー)

弱さ認めない男の弱さ

日本を代表する女性学の理論的指導者は言う。「自分を弱いと認められないのが男の弱さです」

(池田圭)

上野千鶴子さん

社会学者、東京大名誉教授、立命館大特別招聘教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。

現代をどう認識しますか。

上野日本は縮小社会を迎えています。アベノミクスをはやし立てている人々は、過去の成長経済をもう一度、という“妄想系”。現実に行き詰まり、それに直面したくない人々が安倍首相に拍手を送っているのだと思います。

しかし人口構造も国際環境も変わり、成長期の経済に戻る要因はありません。成熟社会は衰退社会。そちらにソフトランディングする戦略に切り替えるべきです。

高齢化も進む。

上野他人の世話にならずに生まれ、死んでいける人はいません。しかし男はそこにある介護や子育てという、ケアの問題に手も足も出さず、女におんぶに抱っこで胡坐をかいてきた。

ケアの領域は最近やっと「ケア労働」と呼ばれるようになった。少子化と超高齢化で子育てや介護の負担の大きさが目に見えるようになり、政治課題になってきたのです。これまで女は黙ってきたのですが、それが赤裸々になってきた。育児・介護問題がなければ、ジェンダー問題はほぼないと言っても構いません。

近年は育児や介護に対する男の認識も変わりつつある。

上野親を介護するための離職が男性にも増えています。ただ、中高年で離職すると元には戻れず、老後の人生設計が破壊されるリスクが高い。

平山亮という若手社会学者の著書『迫りくる「息子介護」の時代』(光文社新書)に面白い分析があります。「息子介護」の当事者が一番会いたくないのは、同じような立場にいる息子当事者だというのです。自助グループも支え合いも難しいとか。

介護は誰にでも降り掛かるのに「弱音は男らしくない」と愚痴すらこぼさない。悩む姿を見せたくないし、同じ立場の男を見るのはもっとイヤ。公的世界からケアが見えなくさせられていくことを見事に描いています。男は困っても互いにつながらないようです。