ニュース画像
札所山主の総出仕のもと、十一面観音の宝前に表白を捧げる田代化主(中央奥)、徳道上人の御影を前にした鷲尾会長(左)
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> ほっとインタビューリスト> 桐蔭横浜大教授 ペマ・ギャルポさん

桐蔭横浜大教授 ペマ・ギャルポさん(61)(1/2ページ)

2014年8月27日付 中外日報(ほっとインタビュー)

宗教者も政治に発言を

中国との国際問題によってチベットから亡命。日本に半世紀暮らし、外交について警鐘を鳴らし続けている。

(有吉英治)

桐蔭横浜大教授 ペマ・ギャルポさん
チベット仏教信徒。チベットから1959年に亡命、65年に来日。桐蔭横浜大法学部教授。ダライ・ラマ法王アジア・太平洋地区担当初代代表などを歴任。『チベット入門』など著書多数。

幼少期に故郷を追われた。

ペマチベットでは何不自由ない少年時代を送っておりましたが、環境が一変しました。7歳の時に亡命することになり、ヒマラヤ山脈を越えてインドに入ったのですが、インド政府から難民に与えられた土地は、ヘビやゾウがたくさんいる危険な地域でした。ある朝、胸の上が生暖かくて目が覚めると、目の前でヘビが長い舌をチロチロ出していたということもありました。

そこではみんなが暑さに参っていました。人が順番に死んでいき、それを見ていると死が怖くなくなりました。と同時に、生きる意欲もなくなっていました。チベットを去ったことで、財産を失ったのはもちろん、自尊心も失っていました。感情さえもなくしたような状態でした。

人間的な感覚が戻ったのは、本当にふとしたきっかけでしたね。父と一緒にいた時、子ゾウが芸の練習をしているのが目に入りました。それを見て、ふっと笑ったんです。その時、急にまた死ぬのが怖いという感情が戻ってきたのを覚えています。

チベットではここ数年、正月を祝うことができていません。中国は北京オリンピックで平和をアピールしましたが、今は300万人の治安部隊を保有しており、チベットにも数十万の治安部隊が送り込まれています。これは軍よりも多い人数で、24時間体制の監視が続いています。5人集まると集会と見なされて逮捕されるので、政府に抗議するには個人で動くしかありません。無関係の人を巻き込まないためには、焼身自殺を図るしかないのです。誰もそんなことをしたくはないのですが、それほどまでに追い詰められています。

日本の宗教者の皆さんには、苦境にあるチベットの状況に関心を持っていただき、発言してもらえればありがたいです。見て見ぬふりはしないでいただきたいと願っています。