ニュース画像
仮安置された日蓮聖人大銅像胸像
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> ほっとインタビューリスト> 淀川キリスト教病院グループ理事長 柏木哲夫さん

淀川キリスト教病院グループ理事長 柏木哲夫さん(75)(1/2ページ)

2014年10月8日付 中外日報(ほっとインタビュー)

魂の平安は宗教の役割

ホスピス(緩和ケア病棟)でみとってきた2500人の生と死。最期は「衣が剝げ落ちて、魂がむき出しになる」。魂を「平安」に導くのは宗教の役割と訴える。

(飯川道弘)

淀川キリスト教病院グループ理事長 柏木哲夫さん
1939年、兵庫県生まれ。大阪大医学部卒。医学博士。84年、淀川キリスト教病院にホスピスを開設し、2500人を超える末期患者をみとってきた。

ホスピスケアを志したきっかけは。

柏木1967年から淀川キリスト教病院に非常勤の精神科医として勤め始め、69年から3年間、研修でアメリカのワシントン大に留学しました。その3年目に初めて末期患者さんの「チームアプローチ」に接したのです。当時はまだホスピスケアという言葉はなく、一人の末期患者さんのために主治医と看護師、ソーシャルワーカー、宗教家―アメリカではチャプレンと言います―がチームを組んでケアしていく。そこに私は精神科医として参加したのです。

今でこそチーム医療は日常のことですが、あとひと月ぐらいで亡くなる人を皆でケアしていることに大変な衝撃を受けました。「もうすぐ亡くなる人になぜ皆で一生懸命やるのか」とナースに率直に尋ねた。するとナースは「この人は家族、アメリカのため今まで一生懸命がんばってきて、今、がんの末期で悩みを抱え、死を迎えようとしている。だから私たちがこの人の苦痛を緩和し、みんなでケアし、いいみとりをするのは医療や看護の非常に重要な働きだと思う」と言ったのです。私はなるほどと。その経験が私のホスピスケアの原点です。

72年に帰国して病院に精神神経科を開設し、心に悩みを持つ人たちのケアをずっと続けていましたが、私がアメリカで末期患者のケアにチームで関わったことを外科や内科の先生が聞かれ、相談に来られるようになりました。

一人のがん患者さんを外科の先生が「困っているんだ」と。見に行ったら患者は「心に不安がある」という。この人はクリスチャンだったのですが、「こんな状態で天国へ行けるだろうか」と非常に宗教的な痛み、スピリチュアルペインを持っておられた。これはチームを組まないとうまくいかないと思い、アメリカで経験したチームアプローチをしようと73年にチームをつくりました。これが日本で初めてのホスピスケアのプログラムだったのです。