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元外交官・文筆家 佐藤優さん(54)(1/2ページ)

2014年10月22日付 中外日報(ほっとインタビュー)

神学的思考、考え方の鋳型

外務省で主任分析官を務めた当時は黒子に徹したが、今は言論の世界に身を置き、その鋭い分析・解釈の能力を遺憾なく示す。宗教論の著書もあり、歯に衣着せない言動には宗教的バックボーンがあることがうかがわれる。

(津村恵史)

元外交官・文筆家 佐藤優さん
「外務省のラスプーチン」などといわれ、対ロシア外交で活躍した。鈴木宗男氏の事件に絡んで逮捕され失職したが、現在は評論など文筆で幅広く活躍する。独自の視座からの国際情勢分析に定評がある。

大学は神学部ですね。

佐藤フォイエルバッハの無神論に触れたのが神学を学び始めたきっかけです。カール・バルトはじめさまざまな神学書を勉強しましたが、野本真也先生(現同志社大名誉教授)に勧められてチェコスロバキアの神学者フロマートカの研究ということを始めました。「キリストによる救済とは何か」を身をもって追究した人で、この人の考え方には今も影響を受けています。「フィールドはこの世界である。信仰を持つ者は常に前を見る」というのは彼がよく口にした言葉です。

フロマートカの神学の影響がなければ、私は外交官になることもなかったでしょうし、鈴木宗男さんの事件で逮捕された時も、それを乗り越えられたのは彼の神学のおかげだと思います。神学的な思考法は私にとって、ものの見方の鋳型になっていますね。国際政治の動きを理解するときも神学的なものの見方が役に立っていると思います。

神学論争の歴史を見ると、神学は政治と強く結び付いているということが分かります。論理的整合性が高い方が負け、逆に論理的に弱い方が政治の力を借りて勝つ傾向が強い。

もう一つは、論理より力で決まるわけですから、論争は積み重ね方式にはならない。同じ問題がまた別な形で繰り返されたりして、何十年たっても結論は出ない。三位一体論や受肉論をはじめ、議論は精緻に、些末になってゆくが、第三者にはますます意味が分からない。しかし、この政治と宗教の論理を押さえないと国際政治の流れは理解できません。