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文明批評の発言が注目される精神科医・作家 野田正彰さん(70)(1/2ページ)

2014年11月5日付 中外日報(ほっとインタビュー)

宗教は国家と違う発想持て

「仏教一つ見ても、親鸞も、道元も、全然他の仏教圏に知られていない。それはディスカッションしていないからですよ」。われわれの思考が、日本という枠組みの中で止まっているのはなぜか。宗教に期待しつつ、その問題点を指摘する。

(萩原典吉)

精神科医・作家 野田正彰さん
滋賀県の長浜赤十字病院の精神科部長を経て、兵庫、京都の大学で学生を指導した。『喪の途上にて』『戦争と罪責』など著書多数。戦争の加害責任を考える上で、その指摘は示唆に富む。

宗教者に対するご発言も多いようですが、どのような宗教観を持っておられますか。

野田既存の言葉だったら、何というか、「汎神論」に近いのかもしれません。世界宗教の神といえども、神は全て同じものを指しているという考え方ですね。イスラムの神も、キリスト教の神も、ユダヤの神も、結局人間が同じものを見ているという発想。またアニミズムは、世界宗教と対極にあると思われていますが、絶対的な神が同じものという考え方と、無数に神があるという考え方は、通底していると思う。

私は、宗教というのは、個人と人間社会の在り方について、一つの規範を与えているものだと思っています。こう言うと宗教者から怒られるかもしれないが、人間は万物の霊長という面もあるけれど、最も下劣な動物でもあると思う。つまり残忍で、盛んに“共食い”する「猿」です。

人間は大脳を発達させたから、「いかに生きるか」をいつも考えないといけない。そこに悪の生き方とか、歪んだ願望とか、いっぱいゴミのように入ってくる。それに振り回されながら、私たちは生きている。でも、そうあってほしくないから、諸宗教が人間の生き方を提示している。

例えば、仏陀の時代は一つの部族が大きくなり、盛んに戦争を繰り返した。そういう中で、悲惨さをつぶさに見て、執着から争いが起きていることを解き明かし、「正しく生きなさい」と八正道を説いたのが仏陀でしょう。だから悟りとは、到達点ではなく、日々の生き方を語っているわけですよね。