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霊感商法被害者救済の最前線に立つ弁護士 山口広さん(65)

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2015年4月15日付 中外日報(ほっとインタビュー)

裾野広がる「カルト」被害

法律家として長年、「カルト」問題に取り組む。宗教の悪用に対する憤りは、宗教への期待にも裏付けられている。

(津村恵史)

弁護士 山口広さん

1949年、福岡県生まれ。東京大法学部卒、75年、司法試験合格。第2東京弁護士会所属。

消費者問題や統一教会などの被害者対策に取り組み、87年に設立された全国霊感商法対策弁護士連絡会の事務局長を務める。

地下鉄サリン事件から20年ですね。

山口当時、相談を受け数回、山梨県・上九一色のサティアンの前に行きました。異様な風体をした若者たちから社会に対する強い敵意を感じました。坂本堤弁護士には単独で行動しない方がいいと何度か助言しましたが、今思えば私も巻き込まれて不思議はなかった。

オウム真理教事件以後、特定商取引法違反などで刑事摘発を進める警察や学生へのカルト問題の啓発に積極的な大学に限れば、カルトへの対応は確かに変わったと思います。しかし、残念ながら様々なカルト団体への入信は後を絶ちません。

そうした団体が若者を引き付けるのはなぜだと考えますか?

山口地域社会の変化が背景にあります。家族のつながり、地域の人間関係が希薄化し、近所の若者の悩みを聞き、じっくり相談に乗ってくれるような人が身近にはいなくなった。「井戸端会議」的な場がなくなった。カルトはその空白に入り込んできている。

他の情報を意図的に遮断して、一定の方向へ誘導する手口で教義を植え付けられてしまうと、この世の法よりカルトの教義を優先して行動する。高学歴の若者などが社会的常識では考えられない行動をとる現実は、ある意味で必然です。大きな団体だけではなく、ミニカルトや、尼崎、北九州の監禁殺人事件など個人レベルのカルト的支配もあります。そうした相談も増えています。

勧誘手法はスキルアップされています。ただ、マインド・コントロールは説明概念であって、それがすなわち違法だということではない。説明に便利なので使いますが、使い過ぎると誤解が生じるということは意識した方がいい。

スピリチュアルな要素は一定の説得力があって、それをうまく利用して人を追い込む。「悪霊が見える」と言われて信じてしまう人は増えています。これは心霊現象やパワースポットなどをバラエティー番組で取り上げたりするマスメディアにも責任があるでしょう。警察や大学はともかく、社会全体として見るとオウム事件から何かを学んだとは評価できませんね。