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指導者を描き続ける歴史小説家 童門冬二さん(87)(1/2ページ)

2015年5月20日付 中外日報(ほっとインタビュー)

奥深い宗祖、法然に降参

親鸞聖人や日蓮聖人ら鎌倉仏教の祖師、また政治家や財界人の生涯も手掛けてきた。人には様々な面があり、良い面を見るべきだと説く。

(有吉英治)

歴史小説家 童門冬二さん
1927年、東京生まれ。東京都庁で企画調整局長、広報室長等を歴任。79年、美濃部亮吉・都知事の退任に伴い退職し、作家活動に専念。著書に『小説 上杉鷹山』『小説 吉田松陰』など多数。

多くの人物を取り上げてきました。

童門歴史上の人物は円筒形をしているんですよ。360度どこからでも光を当てられて応えられる許容性を持っている。光を当てる側は同じ一人の人間でも、年齢を重ねたり立場が変わったり、その時々でアングルが変わる。それに応えるわけです。だから一つの見方だけで、その人を決め付けるわけにはいかないんです。それが顕著なのが織田信長と坂本龍馬。2人はいまだに分からない奥深さがあります。

それは空海さんも最澄さんも、宗祖と呼ばれる人にはいえることです。みんな深いし幅も広い。立体的でもあるから、卑小な力ではとうてい太刀打ちできない。

法然さんの小説を書き始めましたが、途中でギブアップしてしまった。あまりの巨人ぶりに、小さなアリのような自分は降参したんです。生涯をたどるということで始めたけど、とてもじゃないけど駄目だなと思いましたね。

法然さんは偉くなればなるほど、自分の位置付けを低くされた。来る者は拒まずで、民衆の悩みを聞いておられる。谷底に座り、そこに滝が流れ込むわけですよ。滝のしぶきの一粒一粒が民衆の悩みです。滝は一本ではなく何本も流れ込んでくる。それに応えるだけの大きさ、深さがあった人です。

信仰するには至らなかった。

童門僕は信仰の一歩手前にいるんですよ。大変傲岸不遜だけれども、まだ自分の力を信じたい。人間の可能性を掘り起こして実験していきたいんです。僕の人生観は「起承転」。生きているうちに「結」はない。死ぬまで生命を完全燃焼させていきたいと思っています。