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人間を愛し、人間を撮る映画監督 池谷薫さん(56)(1/2ページ)

2015年7月29日付 中外日報(ほっとインタビュー)

チベットに学ぶ非暴力

2013年から2年かけて、中国の抑圧に対するチベット人の焼身抗議を題材に「ルンタ」を撮影した。これまで戦争や震災などをテーマに映画を撮ってきたが、自分は「社会派」ではなく「人間派」だと主張する。人間を愛し、人間のエネルギーを追う。

(甲田貴之)

映画監督 池谷薫さん
ドキュメンタリー映画監督。初の劇場公開作品「延安の娘」は世界中から注目を集めた。「先祖になる」でベルリン国際映画祭エキュメニカル賞特別賞など多数受賞。「ルンタ」は18日から渋谷シアター・イメージフォーラムで公開。以後、全国で順次公開される。http://lung-ta.net/

東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市で、「先祖になる」を撮影されました。

池谷主人公の佐藤直志さんは、津波で息子を亡くして家を流されました。農林業を営んできた彼は元の場所に家を建て直そうとします。直志さんは、木を切ると必ず、小枝を切り株に挿して自然に返すため神に祈る。そういう信仰に根差した姿を撮影し、祈りをテーマとした映画になった。僕にとっても宗教的な気付きがありました。

「先祖になる」を撮る前からチベットを題材にするつもりでいて、その映画は祈りの映画になると、何となく感じていた。「ルンタ」を撮って、前作とつながっていると感じています。例えば、「先祖になる」を応援してくれた成田山新勝寺(千葉県成田市)や善光寺(長野市元善町)は実は、チベットを応援した時期があったり、登場人物が非常に「場所」を大切にしていたり、直志さんが毎日仏壇にお茶を供えたりしていたけれど、それはチベットの人も当たり前に毎日やっていることだったり、共通項がたくさんあった。

自身の信仰心にも変化がありましたか。

池谷うちは曹洞宗の檀家でしたが、特段の信仰があるわけではなかった。でも被災地に通うようになって変化がありました。今の事務所の近くには浅草寺があって、毎朝のウオーキングの帰りに寺に立ち寄って手を合わせるようになった。チベット人のように生きとし生けるもの全ての幸せを願うなんてなかなかできないけれど、手を合わせて祈ることで自分の心が落ち着くことを実感するようになりました。