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京都大総長でゴリラ研究の第一人者 山極壽一さん(63)(1/2ページ)

2015年8月19日付 中外日報(ほっとインタビュー)

共感力暴発 宗教が止めよ

ゴリラ研究歴約40年。霊長類学の立場から「人間とは何か」を追究してきた。宗教の起源は人類が発達させた共感力と語る。

(池田圭)

ゴリラ研究の第一人者 山極壽一さん

1952年、東京都生まれ。日本モンキーセンターリサーチフェロー、京都大霊長類研究所助手、同大大学院理学研究科教授などを経て2014年10月から同大総長。著書に『ゴリラ』『父という余分なもの』『暴力はどこからきたか』『「サル化」する人間社会』など多数。

ゴリラを研究していて、人間がどう見えますか?

山極人間ってゴリラやチンパンジーと似ているところと似てないところがあるわけですが、いずれも生物学的な特徴に根差しているのではないか。人間は「文化によって生きている」といわれますが、文化以前の生物学的な感性や資質に大きな影響を受けて生活している。

例えば、毎日ご飯を食べる。1日3度ぐらい食べるのは人間の胃腸の働きがそのようにできていてそれによって人間の生活は規制される。そういう問題が常にある。

それから共感を持っている。サルにもある程度、共通する特徴ですが、人間は非常に強くそれを発展させた。「他人が自分をどう見ているか」ということに人の生き方は強く左右される。これは宗教の起源とも関係しますが、それに常に影響を受け続けています。

だから人間を外から眺めると、ものすごく動物的な性質と、動物的な性質の中でもサルや類人猿とは違う特性を持ち、人間が今の文化を持つ以前につくり上げられた身体と心によって生活や生き方が影響を受けていると感じます。

特徴的な例は?

山極字を書くために指を使う。でも字を書くために指は進化したわけではない。人類が字を書き始めたのはせいぜい2千~3千年前。別の目的のために進化したものを今の目的のために使っている。

それは人間の身体を考えるとよく分かりますが、実は心や社会もそうかもしれない。例えば、家族は今の用途のためにつくられたものではないかもしれない。親子の愛や兄弟愛は今の人間がつくっている社会に合わせるためにつくられたわけではないかもしれない。それを現代のニーズに合わそうとして、無理が生じているかもしれない。だからこそ過去にさかのぼって人類の歴史や生態を調べてみる必要がある。