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死を語ることが物語の始まりと考える小説家 阿刀田高さん(80)(1/2ページ)

2015年9月2日付 中外日報(ほっとインタビュー)

信仰離れて宗教考える

書き上げた短編小説は、900編を超える。多くの物語を紡いできた今、死者について語ることがストーリーの始まりだったと考えている。

(有吉英治)

小説家 阿刀田高さん

1935年、東京生まれ。早稲田大文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆を続け、78年に『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。ミステリーやブラックユーモア、「奇妙な味」の短編で知られる。79年、『ナポレオン狂』で直木賞受賞。前日本ペンクラブ会長。

『旧約聖書を知っていますか』など聖典のエッセーも書かれました。

阿刀田宗教の本は、信仰を持っている方が自分の信ずる宗教はどういうものかと説いているものがほとんどです。一般の方から見ると、少し理解できないな、というところもあるわけですよね。そんなことから、自分なりに原典に当たってみたりしたのです。

宗教は常に文化を背負っているものです。信仰を少し離れて宗教を考えてみると、そこから宗教の文化的な役割が見えてきます。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、この三つの宗教が世界の文化に大きく関わってきたことは間違いのないことで、それぞれどういう考えなのか読者の方にも理解していただきたいと思います。

仏典について書く予定は。

阿刀田仏教は魅力的で、書きたいテーマではあります。ですが「知っていますか」のシリーズは、なんとなく考え始めて10年、本気で考えてから3年くらいは準備が必要です。年齢を考えると無理だろうと。

ご自身の信仰は。

阿刀田私は残念ながら信仰を持ちません。宗教に関心はあり、信仰を持つことには大いに敬意を抱くのですが、私は神にも仏にも巡り合うことがありませんでした。巡り合っているのに気が付かないんだ、なんてよく言われますが(笑い)。

私たちは誰でも、生きるということについては真剣に考えますが、死ぬことについてはあまり考えていないですよね。自分の死が近づいてきたときに慌てて考えるというのが実情かと思うのですが、もっと考えてもいいと思います。考えたから何かが分かるというわけではないのですが、自分なりの納得を得られればそれに越したことはないと思ったりしています。