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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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現代の心の病に向き合う精神科医 香山リカさん(55)(1/2ページ)

2016年2月24日付 中外日報(ほっとインタビュー)

患者には宗教の知が必要

精神科医として医療に携わる傍ら、評論や執筆活動を行い、現代の日本が抱える心の病の問題に肉薄する。マインドフルネスにも造詣が深く、臨床現場での活用方法を探るとともに、宗教と医療が相補的にうつ病患者や亡くなりつつある人に寄り添う必要性を訴える。

(甲田貴之)

精神科医 香山リカさん

精神科医。立教大教授。東京医科大卒。専門は精神病理学。臨床経験を生かしながら、幅広いジャンルで活躍する。スリランカ上座仏教のアルボムッレ・スマナサーラ長老ら宗教者との対談も。『半知性主義でいこう 戦争ができる国の新しい生き方』など、著書多数。

精神医療はもともと宗教の領域だったと言う人がいます。

香山実際の精神科医の診察現場には、老いや病によって死を身近に感じている人だけでなく、家族を自殺や不慮の事故で亡くした遺族が訪れます。

「なぜ、この人が亡くならなければならなかったのか」という問いは理屈では説明できません。そのような問題に直面するとき、宗教的な知がその人にとって必要になったり、そこから医療とは異なるサポートができるのではないかと感じることがあります。

また、病院では看護師とかケアワーカーが患者に寄り添っていますが、宗教者が患者の知らない世界、知識をもって「大丈夫」とか「安心してください」と語り掛けることが、苦しんでいる人の救いになります。

宗教者だからこそ語れることがある?

香山私自身はクリスチャンではありませんが、立教大で教員をするなど縁があり、キリスト教に親しみを持ち、教会を訪れることもあります。

約15年前に30代の友人が突然倒れて急逝した時、クリスチャンの友人が「彼女は天国で安らかにしている」と話してくれました。何もしてやれなかったのかと割り切れない思いを抱えていた私は、それで救われたというわけではないんですが、その言葉を受け入れることでしか苦しみを解決できませんでした。

世界の全てを宗教で説明し尽くすというより、宗教の教えや知を借りて、理不尽な現実に立ち向かう力を得ることは、信仰を持つ持たないにかかわらず、現代の社会で増えつつあります。