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「海難1890」で日本とトルコの友情を描いた映画監督

田中光敏さん(57)(1/2ページ)
2016年4月20日付 中外日報(ほっとインタビュー)

人の命を思う「真心」を

突然の海の遭難事件。暴風雨の中、異国の人々を懸命に救護した村人たちの物語は今も日本・トルコ両国に語り継がれる。映画を通し、人を思う「真心」の大切さを改めて現代人に訴える。

(飯川道弘)

映画監督 田中光敏さん

1958年、北海道生まれ。84年、クリエイターズユニオンを設立し、CMディレクターとして活躍。2001年に「化粧師 KEWAISHI」で映画監督デビュー。昨年12月に日本・トルコで公開された合作映画「海難1890」で両国の友情を描き話題を集めた。大阪芸術大教授。

「海難1890」は、和歌山・串本沖で座礁したトルコの軍艦エルトゥールル号乗組員を村人たちが救助し、イラン・イラク戦争でテヘランの邦人をトルコ機が救出した二つの史実が題材ですね。映画で訴えたかったことは。

田中当時の串本の村人は海難事故に遭ったトルコ人たちを命懸けで助けました。子孫にインタビューしましたが、目の前に困っている人がいたら助ける、その一心だったそうです。テヘランの日本人を救出したトルコ航空のパイロットらも同じ話をしました。

二つの史実には人が人を思う、人の命を思う心があった。映画を通してこの史実を正しく後世に伝えなければいけないと思ったのです。人を思う心、映画では「真心」という言葉をあえてこだわって使いました。

もしかすると「真心? ちゃんちゃらおかしいよ。そんな真っすぐな言葉を使う映画なんて」と言う人がいるかもしれない。辞書を引くと、真心とは見返りを求めない心とある。そういう心を日本人は失ってはいないか。現代社会で死語になった感のある真心という言葉を、映画の中でもう一度きちんと使ってみようと思いました。

映画では、イスラム教や仏教など様々な宗教者が亡くなったトルコ人を供養する場面があります。諸宗教による祈りを意識されたのですか。

田中そうです。自分の願いでもありますね。命や亡くなった人を思う心は宗教や人種の違いを超えて同じであり、悲しみや悼みを共有できれば同じ場所で祈ることができるはずです。ただ全員がイスラムの祈りをするのではなく、それぞれの文化として日本人は当時の和歌山の人たちの祈り方、思い方、そしてトルコの人たちの祈り方、思い方がある。

共存して、当たり前のように共に祈る。思う心が一緒であればできると思うのですね。そんな甘いものじゃないとお叱りを受けるかもしれませんが、そういう願いを込めてあのシーンを撮りました。