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森と心の再生を手掛ける作家 C・W・ニコルさん(75)(1/2ページ)

2016年6月8日付 中外日報(ほっとインタビュー)

神道に似たケルトの教え

英ウェールズ生まれの日本人。本来の美しい自然を失いつつある日本の現状を憂慮し、人と自然の共生を訴える。

(有吉英治)

作家 C・W・ニコルさん

1940年生まれ。カナダで海洋哺乳類の調査研究、エチオピアで野生動物保護に従事。62年に初来日。長野県の黒姫高原に居住し、荒れていた里山を購入して「アファンの森」と名付け再生させる。95年に日本国籍取得。

日本に来てから半世紀以上がたちますね。

ニコル22歳からなので、西洋より日本に長くいます。クリスチャンの家庭に育ち、私は全ての宗教を尊敬していますが、11歳くらいの時からキリスト教を信じなくなりました。教会には、合唱団でボーイソプラノのソロをしていたので、いつも行っていました。ですがある日、すごくかわいがっていた犬が病気になって、獣医にもう死ぬと言われました。ちょうど日曜日で、教会に行かなくてはならなかったので、僕は少し早く行ってお祈りしていたんです。

そこへ牧師が来て、「いい子ですね。何をお祈りしているのですか」と聞かれました。「犬がもう死ぬから、先に天国に行って、僕がいい子だったら天国で会う」と話したら、牧師は「犬は天国に行かない」と言いました。私は深くショックを受けて、「犬がいない天国には行きたくない」と言ったんです。そしたら牧師は僕の顔をたたいたんです。私は「神なんて大嫌い。神のバカ」と怒鳴って、教会を駆け出してしまいました。

そんな僕におばあちゃんは、「神様はバカじゃない。犬も生きているでしょ。生きているということは、神様の息がかかっている。全ての生き物がいなくちゃ天国じゃないでしょ」と慰めてくれました。おばあちゃんは絶対に教会に行きませんでした。結婚式の時だけ行ったらしいですが。昔だったら焼かれていたでしょう(笑い)。ケルト(イギリスなどに残る古代ヨーロッパ文化)の昔の教えをずっと持っていたんですね。おばあちゃんが、魂は神様の息だという話をしてくれたのはこの時だけでした。

ケルトの教えは神道に似ています。全てのものには魂があります。日本に来た54年前、特に僕より年上の人たちには、全ての生き物に対する尊敬の念があったように思います。