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文化財の未来を見据える京都国立博物館館長 佐々木丞平さん(75)(1/2ページ)

2017年4月12日付 中外日報(ほっとインタビュー)

造形の奥にひそむ「仏さまの魂」

京都国立博物館(京博)は今年、開館120周年を迎え、特別展覧会「海北友松」が11日から始まった他、秋には41年ぶりとなる国宝展が開かれる。京博誕生の使命は「文化財を守る砦だった」と振り返り、さらに文化財保護の将来を展望する。

円山応挙や与謝蕪村などを論じる美術史家としても活躍。深く作品を楽しむためのヒントをやさしく解き明かす。仏像を本当に鑑賞することとは、美しい造形の奥にひそむ「仏さまの魂」に触れることだと穏やかに語る。

(丹治隆宏)

文化財の未来を見据える京都国立博物館館長 佐々木丞平さん
ささき・じょうへい氏=1941年生まれ。京都大大学院文学研究科修了後、京都府教育委員会、文化庁で文化財保護行政に携わる。その後、京都大大学院文学研究科教授などを経て、現在は独立行政法人京都国立博物館館長。専門は日本近世絵画史。著書に『円山應舉研究』など多数。

京博ができるまでの歴史をどう見ますか。

佐々木スタートする1897(明治30)年に至るまで、日本の伝統文化、文化財にとっては危機的な時代だったと思います。神仏分離令(1868年)が出た後に廃仏毀釈の波が押し寄せ、それに輪を掛けるようにして、日本の文化は古いから捨てよう、新しい文化を吸収しようという文明開化の流れがありました。

そうした中で「これでいいのか」という反省も起こりました。火を付けたのは、明治政府が文明開化のために招いた「お雇い外国人」だと思うんですね。「日本人はどうして、こんなに伝統文化を粗末にするんだ」という嘆きがあった。ドイツ人医師のベルツの日記の中には、状況を見ての驚きが記されています。

文化財の保護、保存の動きが廃仏毀釈に並行して出てきて、古社寺保存法(1897年制定)につながります。ちょうど同じ年に京都国立博物館がオープンしました。文化財を守る砦として発足したと言ってもいいと思います。

仏像を壊すということは今では考えられませんが。

佐々木人間の意識というものは不思議なもので、社会の大きなうねりにのみ込まれると、大切にしていたものに途端に関心を示さなくなる。無関心になるから、平気で捨てたり壊したりするわけですよ。タリバン政権や「イスラム国(IS)」が文化財を破壊することに「なんていうことをするのだろう」と言いますが、似たような事態が起こっていたわけです。

一つ考えを間違えれば、歯車が狂えば、同じようなことが日本でもあり得るわけです。だから、文化財を守るということは、人間が意識しないと、関心を持たないとできないことなんです。