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差別なき民族共生社会を目指す 郭辰雄さん(50)(1/2ページ)

2017年6月28日付 中外日報(ほっとインタビュー)

人は差別意識を根源的に抱える

在日コリアンの街、大阪・鶴橋で外国人の人権問題に長年取り組んできた。現在は様々な啓発活動や日韓の市民交流事業などを展開するコリアNGOセンター(大阪市生野区)の代表理事として、年間数十回の講演で全国を飛び回っている。

ヘイトスピーチに代表される排外主義の一方で日本は多民族化が進む。“異なる他者”とどう共生するべきか。「共生は『ケンカをしないで仲良く暮らしましょう』ということではない」と強調し、「寛容と対話のプロセスそのもの」と説く。

(池田圭)

差別なき民族共生社会を目指す 郭辰雄さん
カク・チヌン氏=1966年、大阪市生まれの在日コリアン3世。神戸学院大卒。90年から在日韓国民主人権協議会での勤務を経て2004年にコリアNGOセンター(大阪市生野区)の設立に参加。現在、代表理事。著書に『知っていますか? 在日コリアン一問一答』など。

鎮静化したとはいえ、在日コリアン(以下、在日)などへのヘイトスピーチは社会に大きな衝撃を与えました。

2006年末の在特会(在日特権を許さない市民の会)の結成が発端ですが、拡大したのは12年です。

この年、韓国の李明博大統領が歴代大統領で初めて竹島に上陸し、その数日後には日本の過去の植民地支配に対して天皇に謝罪を求める発言をしました。さらにこの当時は尖閣諸島をめぐる日中の対立が激化。それらが重なったことで嫌韓・反中の言説が一気に拡散していきました。

大阪・鶴橋では13年に200人規模のデモがあり、「殺せ殺せ、朝鮮人」などおぞましい声が上がりました。

それまでは「さすがにそこまでは」と思っていたのですが、「最後の一線が決壊した」と思いました。

ヘイトスピーチが顕在化した理由は。

以前から根強い在日コリアンへの差別感情、そして日本社会の展望のなさへの不安が大きいと思います。

小泉政権時代に新自由主義や競争社会、自己責任論などが現れた後、09年に「コンクリートから人へ」を掲げた民主党に多くの人が期待して政権交代が起こりました。しかし改革は進まなかった上、原発事故を伴う東日本大震災が起きて、失望と閉塞感が広がりました。また日本よりも“下”だと思っていた韓国や中国が台頭してきた。

そうした剥奪感や、社会的格差への妬み・嫉妬の感情が露わになり、排外主義が蔓延していったと考えています。