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ハーバード大で比較宗教学を学んだ漫才師 パックンさん(47)

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2018年3月14日付 中外日報(ほっとインタビュー)

「象徴」を信じて思考停止は危険

日本人とアメリカ人のお笑いコンビ「パックンマックン」のメンバー。文化の違いを突いた笑いで人気を博すが、その根底には「当たり前」と思えることに「なんで?」と切り込む姿勢が常にある。

大学で研究テーマに選んだのは、反社会的とされる団体。組織に加わった人たちの心理を見つめるうちに、人に言われたことをうのみにする怖さを痛感した。

「常識を破るのがお笑い芸人の仕事」。日本人が当然と思う事柄に厳しいツッコミを入れ議論を喚起する。

(有吉英治)

ハーバード大で比較宗教学を学んだ漫才師 パックンさん
本名はパトリック・ハーラン。1970年生まれ、アメリカ・コロラド州出身。ハーバード大で比較宗教学を専攻。卒業後に来日し、97年に漫才コンビ「パックンマックン」結成。NHK「英語でしゃべらナイト」の他、多くのテレビ番組に出演。新著に『世界と渡り合うためのひとり外交術』。

なぜ宗教学を専攻したのですか。

パックン僕はキリスト教の環境で育ったんですね。教会の聖歌隊で4、5歳からミサで歌ったり、毎週サンデースクールに通ったり。もちろん食事の前にはお祈りもしますし、クリスマスやイースターをお祝いする。家族はみんなキリスト教徒だったんです。

でも、特に1980年代から巨大なメガチャーチをつくってぼろもうけする牧師がいたり、クリスチャンと名乗る政治家たちが貧困撲滅ではなく、妊娠中絶反対とか同性愛反対とか銃の規制にまで反対してイエスの教えと関係ない政策に集中したりしていた。過去のキリスト教国を見ても、神様の名前を借りて戦争や弾圧、拷問もやっていた。

宗教がこんな反社会的な行動につながるメカニズムを勉強しようと思って、クー・クラックス・クラン(KKK、メンバーにプロテスタント信者が多いアメリカの白人至上主義の秘密結社)にスポットを当てたんです。KKKは十字架を燃やしたり黒人をリンチしたりするので有名です。「平和の王子様」キリストの象徴である十字架を見て人を殺したくなるのは、どういうことなんだろうと。

宗教が本来の教えに反することをするようになるシステムとは。

パックン簡単に言うと、人間は「シンボル」に反応するものなんですね。

日本人にとってシンボルというと、天皇陛下、国旗、仏像などでしょうか。キリスト教徒が踏み絵を踏めない心情は、そこに象徴の力があるからなんですね。形あるものだけでなく、言葉とか概念も象徴になる。「神様」もそうですし。

というように広い定義で取り上げたんですけれども、KKKはそんな象徴を使って大衆に訴えていた。「母を守る」「国を守る」「神様を守る」という共感しやすいことを信じさせてから、母や国に対する脅威を持ち出す。黒人やユダヤ教徒、現在だったら移民と、自分たちが嫌いなものを脅威として定める。信じてしまった人の中では、神様に対する愛が、脅威に対する憎しみに簡単に変わるものなんですね。

「私のために頑張っている、同じ思いを持っている」と共感できる人から「神様のために戦おう」と言われたら、「なんで人を殺さなきゃいけないんだ」と問う過程が省かれちゃうんですよ。

同じことは今の日本でも見られますか。

パックン日本では、神様という象徴はそんなに使われないですし、あまり政治家はブッダとか出さないですね!

でも、有効なシンボルはある。「安心・安全」「絆」「復興」とか「子どもの未来を守る」「地方創生」など、「守る」という単語、大好きなんですね。守るというと、誰からなのか言わなくても、仮想敵ができちゃうじゃないですか。「日本」という象徴と「守る」という大好きな単語の組み合わせは強いですね。