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ゼロ円で生きることを提唱するライター 鶴見済さん(53)

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2018年4月11日付 中外日報(ほっとインタビュー)

生きづらい世の中に風穴

1993年の『完全自殺マニュアル』で一躍ベストセラー作家に。「生きづらい」世の中に風穴を開けるためだった。

人々が生きづらさを感じる原因の一つに、金もうけ優先の経済体制があるという。こうした現状に警鐘を鳴らし、昨年末に『0(ゼロ)円で生きる』を上梓した。「金もうけが得意じゃなくても、社会に適応できなくても楽に生きる社会をつくりたい」。本当の豊かさを実現する社会を目指し、身の回りからできる草の根の活動を仲間と共に展開している。

(赤坂史人)

ゼロ円で生きることを提唱するライター 鶴見済さん
つるみ・わたる氏=1964年、東京都生まれ。東京大文学部社会学科卒。大手電機メーカーなどを経て、フリーライター。主な著書に『完全自殺マニュアル』『無気力製造工場』『人格改造マニュアル』などがあり、社会や経済構造などの問題点を浮き彫りにし、生きやすい社会の実現を提唱している。

『完全自殺マニュアル』を書いた経緯は。

鶴見1991年からライターの活動をしていて最初に出した単著でした。大学に入った時からずっと精神科に通っていました。別に意識していなかったんですが、後から考えてみれば、全て「生きづらさ」という問題が根底にあったと思います。だから「人生を生きづらい」と感じている人が楽になるようなことを提言した書籍を出し続けてきました。

私たちの時代はとにかく「頑張れ」と言われ過ぎた時代でした。私はいろいろと苦しんだので、死にたいと思う時期が長かったのですが、そういう人間は「弱い、強くなれない」と見なされた。そういうものに強い反感を持っていたので「究極的には死んでしまうという手もあるのだから、楽に生きていこうよ。だらだらと生きていこう」と言ってきたんです。

刊行当初、批判もありましたが、それ以上に読者や評論家から支持されました。このような考え方があってもいいと。それに自殺者数は、この本がベストセラーになった93年、94年には減っているんですね。

世の中の風潮に対する反発ですね。

鶴見命は大切ですが「命の重み重み」と言われ過ぎていて、自分としては人生をもっと軽く考えたい。自分の経験でもそうですが、何もかもくだらないとか、どうでもいいと思ってしまった方が楽になる。

それに死んで全く終わりではなく、無機物になったり有機物になったりしながら、ぐるぐる循環しているわけですよ。恐ろしい数の人たちがそこら辺に散らばり、それが植物になり、自分も食べたりします。私たちはその循環の一部で、これが輪廻かもと思った時、この世界に愛着が湧いたこともありました。

いまだに多くの方が自殺で亡くなっています。

鶴見今の時代、頑張れという風潮は弱まっているとは思いますが、少なくとも「個人が集団の犠牲になる」というのは確実に残っていて、生きるのがつらくなる一つの原因だと思います。日本人はみんなに合わせようとする意識や同調圧力が強い。過労死なんかもその要素があるでしょう。学校の部活動もそうですね。みんながするから自分も仕方ないと。いかにも日本人らしいです。

楽な生き方の提言とはどのようなものですか。

鶴見昨年末に『0円で生きる 小さくても豊かな経済の作り方』を刊行しました。ただで様々なことをやる方法やシェア、贈与、相互扶助を取り入れる方法、なぜそのようなことが必要かを書いたものです。

今の世の中はあまりにもお金が中心になってしまっています。ですからお金重視じゃない、贈与経済などを訴えたかったんです。贈与経済はお裾分けのように資本主義経済になる以前から普通にあった経済です。そのようなものを取り入れることで、お金を稼ぐのが得意じゃない人や、社会に適応できないような人も楽に生きられる社会を作りたい、小さくても豊かな経済の領域を作ろうというコンセプトの本です。