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トップ> ほっとインタビューリスト> 「終活3部作」を歌うシンガー・ソングライター 嘉門タツオさん

「終活3部作」を歌うシンガー・ソングライター

嘉門タツオさん(59)(1/2ページ)
2018年9月12日付 中外日報(ほっとインタビュー)

「送る・送られる」尊く明るく

「鼻から牛乳」などのコミックソングでおなじみの歌手が、死にゆく人の気持ち、見送る遺族の思い、そして墓参りの大切さを歌にした。間もなく還暦を迎える年になったからこそ歌える歌だという。

歌うべきテーマがあれば歌にするという姿勢を貫いてきた。「お墓に行こうよ! お墓に行こう!」。繰り返されるフレーズはあくまで明るく、直葬や墓じまいなど、親や先祖への敬いの心に欠ける近年の風潮に対し、真面目なメッセージをこめる。

(有吉英治)

(撮影協力・チップワンストップ)
(撮影協力・チップワンストップ)
かもん・たつおさん=1959年、大阪府茨木市生まれ。高校生で落語家・笑福亭鶴光さんに入門し、ラジオ番組「ヤングタウン」に出演。83年「ヤンキーの兄ちゃんのうた」でデビュー。今年7月、終活3部作を含むCD「HEY!浄土~生きてるうちが花なんだぜ」を発売。寺院でのライブも積極的に行っている。

「終活3部作」を作ったきっかけは。

嘉門デビューして35年間、歌にすべきテーマがあるものは歌にするという姿勢でやってきました。繁華街で客引きやぼったくりが横行しているので「ぼったくりイヤイヤ音頭」という歌を作って、現在も新宿や渋谷、錦糸町で流れていたりね。

「終活3部作」は、横浜の常照寺(日蓮宗)の伊東政浩さんから、「最近の人はお墓参りをしなくなった。親の葬儀もしないし、遺骨を電車の網棚に置いていくこともある」という話を聞いて、このテーマは歌うべきだ! と思ったんです。

「墓参るDAY♪」は二十数年前のネタに「HAVE A NICE DAY! 墓参るでー」というフレーズがあったので、それをベースにみんなで歌えるように、サビはベートーベンの第九に乗せました。そして同時進行で「旅立ちの歌」を作りました。送られる側の気持ちを歌ったのですが、一番言いたいのは「風になんてなるつもりはない、そこにいるから、きっといるから」というフレーズです。ある歌に対するアンサーソングなんです。「そこにいません」ではなく、そこにいると思って行くという気持ちと行動が尊いと広く訴えたいのです。

2曲ができた時に作詞家の阿木燿子さんと対談させていただく機会があって、「うちの主人(宇崎竜童さん)の弔辞が評判が良くて、すでに予約まで入っているんですよ」とおっしゃったのを聞いて、送る側の歌も必要やなと思い「HEY!浄土」ができました。そのような流れで3曲が自然に生まれたので、「終活3部作」と名付けました。

アルバムには「帰って来たヨッパライ」を収録したり、先日亡くなったさくらももこさんが支持してくれた「法事ブギ」、30年前に僕が歌った「タンバでルンバ」を入れたり。これまでパズルのようにバラバラにあったものが不思議と収まって、ユニークなコンセプトアルバムに仕上がりました。いかに生き、いかにこの世を去るかという、重いテーマを扱っていますが、それを明るく前向きなものとして表現できたんじゃないかと思っています。皆さんからのリアクションを聞いて手応えを感じていますし、実際にお墓参りに行きましたという声も多く寄せられているので、作って良かったなと実感しています。

35年歌ってきて、ようやくこういう歌を歌える入り口に立てたのかなと。20代、30代では歌う必然性も説得力もないですし。その先にこれがあった、というのが面白いですね。

墓参りには行きますか。

嘉門結構行く方です。菩提寺は浄土真宗で、父方の祖母が亡くなった頃からよくお墓参りはしています。でもいまだにお経は理解できないんですよ。独特の節回しが結構複雑で(笑い)。南無阿弥陀仏と言って往生できるというような実感はまだないですが、その教えの一端を現代で表現したいとは思っています。