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世界は一つと訴える元プロ格闘家 須藤元気さん(40)(1/2ページ)

2018年9月26日付 中外日報(ほっとインタビュー)

坐禅・瞑想 自己を見つめる

「強くなりたい」との思いから飛び込んだ格闘技の世界。米国での柔術修行を終え、日本で逆輸入ファイターとしてプロデビューした。勝ち星を重ねても、強靭な肉体を得ても、幼少期から漠然と感じていた不安感は拭い去ることができなかった。

不安を払拭させたのは坐禅だった。世界は自分の内面の投影であり、それぞれの心の平安が大切だと語る。世界がバラバラではなく、「WE ARE ALL ONE(すべてはひとつ)」という考えが根底にある。

(赤坂史人)

世界は一つと訴える元プロ格闘家 須藤元気さん
すどう・げんき氏=1978年、東京都生まれ。拓殖短期大時代にレスリングの全日本ジュニアオリンピックで優勝。渡米し帰国後、プロデビュー。2006年の引退後は作家、タレントなど様々な分野で活躍。拓殖大レスリング部監督。18年度日本オリンピック委員会強化スタッフ。

なぜ格闘家になろうと思ったのですか。

須藤子どもの頃から世の中に対する恐れや漠然とした不安など、常に自分の中に葛藤があり、自分を強くしたいという思いがありました。中学卒業後はフランス外国人部隊か自衛隊に行くかを考えていましたが、両親に高校だけは行ってくれと言われたので、高校に行くことにしました。

当時、金網の中で、素手で殴り合うという何でもありの格闘技UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)がアメリカで流行していて、「これだ」と思いました。出場するにはレスリングの技術が必要だと感じ、レスリング部のある高校に行きました。その後、プロの格闘家になることができましたが、不安は一向になくならず、試合の時も不安で、いっぱいいっぱいでした。不安と葛藤が大きく、催眠術で手っ取り早く勝てないかとか、コントロールできないかとか、いろいろ試しましたね。でも自分がどのフェーズに行っても、世の中に対する不安はずっと消えなかった。

不安は解消できたのですか。

須藤心の中にある不安の原因を発見したのは、曹洞宗青松寺(東京都港区)で坐禅をしている時でした。人は誰しも大人になる過程で、「インナーチャイルド」として、ネガティブな体験を心の中に埋め込んでしまっています。それがコンプレックスになったりしていますが、意外にこのことに気付いている人が少ないのです。

私の場合は、子どもの頃に「弱い」と言われた体験がインナーチャイルドになっているということを、30代半ばで気付きました。小学1年生の頃に引っ越した際、男の子に泣かされたのですが、母親と姉に「弱いわね、気がちっちゃいから」、親父からも「けんかに負けたら帰ってくるんじゃねぇ」と言われたんです。両親は何げなく言ったと思うのですが、これが僕のインナーチャイルドだったということが分かり、それを言語化することで、心が解放されました。それからは「弱い」と言われても全然気にならなくなりました。

瞑想を行うアスリートも多いようですが、坐禅をするようになった契機は。

須藤もともと精神世界には興味があり、高校生ぐらいから様々な本を読むようになりました。一流のアスリートは、目には見えない力が必ずあると気付いています。それが神や仏でなくても、先祖などでもよいと思いますが、キリスト教文化の人たちが本番に強いというのは、やはり信仰があるからではないでしょうか。祈りは瞑想であり、脳波をα(アルファ)波やθ(シータ)波にして、気持ちを落ち着かせます。

結局、自分の内を見つめることが大切なのです。自分の内側の投影が外の世界に広がっていくということをなんとなく理解している。成功している人はみんな分かっていると思います。だから経営者が瞑想をしたり、坐禅をしたり。グーグルが瞑想を取り入れたり、マインドフルネスが海外で流行したりするのもそのためでしょう。