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LGBTへの理解を訴える虹色ダイバーシティ代表

村木真紀さん(43)(1/2ページ)
2018年10月24日付 中外日報(ほっとインタビュー)

多数派と違う視点にも価値

レズビアンの当事者として、企業・団体・学校でのLGBT(性的少数者)研修・コンサルティング事業に取り組み、年間約50回の講演活動をこなす。近年、人口の5~8%とされるLGBTに対する社会的な認識は高まりつつあるが、偏見は根強く、当事者は大きな不安を抱えたまま生活しているのが現状だ。

様々な立場や属性を持った人々の多様性をいかに認めていくか。「地域に根差した存在である宗教者の方々にはそれを認め、安心して生き、死んでいける地域づくりを」と願う。

(池田圭)

LGBTへの理解を訴える虹色ダイバーシティ代表 村木真紀さん
むらき・まき氏=1974年、茨城県生まれ。京都大卒。社会保険労務士。LGBTに関する調査研究や企業・団体向けの研修・支援事業などを展開するNPO虹色ダイバーシティ(大阪市北区)代表。共著に『職場のLGBT読本』『トランスジェンダーと職場環境ハンドブック』。

LGBT(性的少数者)と宗教ということでは、葬儀をめぐる問題があると思います。

村木まずLGBTがカミングアウトする際には「地域社会の壁」があります。カミングアウトの順番はまずは友人で、その次が家族、さらにその次が職場で、最後が地域になることが多いのですが、それは「友人や家族が理解してくれても、近所や親戚からどんなふうに言われるか」という怖さがあるからです。

だから特に現在でも地方に行くとよくある、地域の人も大勢参列する葬儀は難しい。葬儀ではお坊さんが生前の故人の生涯や人となりについて紹介されたりしますが、私は葬儀に行くたびに「では、自分が死んだときはどういうふうに言われるのか」と考えながら聞いてしまいます。

様々な噂が立つ、と。

村木私自身のことを言えば、出身が地域の人間関係が濃密な茨城県の田舎なので、「ここには住めない」と思い、大学は関西にある京都大を受験しました。実家に近い東京ですら嫌だったのです。

現在も関西でパートナーと生活しているのですが、自分の葬儀を考えてみると不安があります。関西で葬儀をするなら、ここでできた仲間たちとのネットワークの中で行えますが、実家ですることになった場合、どうするのか。親戚や近所の反応が気になりますし、それによって家族が新たに傷つくようなことにならないか心配です。パートナーにとってはどういう立場で葬儀に参列すればよいのか分からないという問題もあるでしょう。

近年、私の実家の地域では近所の人が大勢参列する自宅での葬儀は減り、葬儀社の会館での葬儀が増えているのですが、当事者にとってはその方が都合が良いという面もありますね(笑い)。

このほか、トランスジェンダーの人にとっては戒名や死に装束を自分の希望する性別にしてもらえるのかという不安もあると思います。結婚式も同じなのですが、実際に式を経験してみないと関係者もポイントが分かりにくい。

儀式を主宰する宗教者も相応の対応が求められる。

村木葬儀や法事はよくできたシステムだと思うんです。四十九日をかけて大事な人が亡くなったことを納得して受け入れる。

しかし、LGBTの場合はそのシステムに乗れないことが多い。悲しみがせき止められ、場合によっては葬儀や法事で悲しみが増してしまうこともある。そうした事情に詳しい宗教者の方なら安心感が違うと思います。

やはり理解のある友人や仲間とのつながりは大きいですか。

村木偏見や差別にさらされているLGBTの当事者はうつを患う率が高く、自死のリスクも高いといわれています。家族との関係が疎遠になっている人も多く、仲間や友人がセーフティーネットです。

だから仲間や友人の重みが違うので、仲間や友人の自死があれば、そうしたネットワークの中で遺族と同様の悲しみやショックを受ける。しかし、自死遺族の支援活動では「参加は親族だけ」と断られてしまう。自死問題に取り組む方々には、こうした点にも配慮していただけると大変ありがたいです。

こうしたネットワークは実家を離れて生活する中で築かれていくことが多いのですが、40~50代になって親の介護などで実家に戻らねばならない人にとっては、それまでの「生きやすい生き方」を一から築き直さねばならないという問題もあります。