ニュース画像
昨年解散した京都市上京区の了徳寺
主な連載 過去の連載
エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> ほっとインタビューリスト> 核兵器の非人道性を訴えるICAN国際運営委員 川崎哲さん

核兵器の非人道性を訴えるICAN国際運営委員 川崎哲さん(50)(2/2ページ)

2018年11月28日付 中外日報(ほっとインタビュー)

国内のNGO団体にICANの活動を説明する意見交換会
国内のNGO団体にICANの活動を説明する意見交換会

核廃絶に対する宗教の役割をどう捉えていますか。

川崎ICANの活動のプロセスは、政治的・技術的な議論としてではなく、核兵器の「非人道性」に焦点を当てて、道徳、倫理の側面からアプローチするものです。

「核兵器を持てば相手は核兵器の使用をためらうはず」といういわゆる核抑止論も、一般の人にとってはそれなりの説得力があるように思えるかもしれません。しかし「目を覚ませ」と、説得力ある形で力強く主張したのは宗教者たちでした。実際にその姿を見聞きし、その役割の大きさを見直すことになりました。FBO(信仰に基づく組織)のように、宗教的背景を持ちメンバーも多い組織が、国際的な舞台で声を上げること自体にも力がありました。

宗教者の発言の影響力は大きいと。

川崎「核兵器は悪である」ということが平和賞授賞式でのICANのスピーチのメーンテーマでした。被爆者のサーロー節子さんはスピーチで「必要悪ではなく絶対悪」と表現していました。このことは宗教ごとに表現は異なっていても、共通して核兵器について訴えることができるテーマではないでしょうか。そしてそれは人々にとっても一番分かりやすい。

核兵器については、力のシンボルから恥のシンボルへと価値の転換が起こり始めていると認識しています。強国が持つ繁栄の象徴ではなく、道徳の退廃を示すものになろうとしています。そういった状況にあって、宗教的・倫理的な価値観に基づいて核の拒否を示すことは強い拒絶の力を社会にもたらします。

昨年採択された核兵器禁止条約ですが、これから各国の署名、批准の手続きを促進していかなければなりません。と同時に、核の保有国・依存国の人たちにも考えを変えてもらう必要があります。人道的な問題として議論の俎上に載せるためにも、宗教者の参加が重要となります。

倫理が問われているのですね。

川崎2010年に核兵器の「非人道性」について赤十字が主張し始めたことで潮目が変わり始めました。これまでは、専門家がこねくり回した核抑止論で煙に巻かれてきたようなものです。そこに素人が乱を起こした。違うよ、と。悪いに決まってるじゃないか、と。人間としておかしいよ、と。

かつて奴隷制度や女性差別は全世界的に存在し、経済発展のために環境を汚染することも当たり前でした。奴隷制度は必要だとか、女性に選挙権は必要ないとか、その都度おかしな論理が登場し、通用してしまうこともありました。そういった議論を駆逐してきたのは人間の良心であり、普通の人間の普通の声でした。それが社会を変える原動力になる。シンプルだけど、大事な力なんです。平和のために核兵器が必要だとして人類を皆殺しにできる核兵器を持つということは、やはりおかしいのです。

日本国内でも同じですね。

川崎日本でも宗教者が声を上げてほしいです。宗教者にはメッセージの受け手がいますよね。お寺であれば檀家さんがいて、尊敬の念を持って訪ねてくる人がいます。そういった人に向けて、それぞれの言葉で分かりやすく、核兵器はいけないものであり、なくすための世界的な努力を一人一人が支えていこうと発信してほしい。

それは議論の場をつくることにもつながります。禁止条約に日本政府は不参加でしたが、今ならまだ前に進むことができます。そもそもICANの運動は草の根の活動が世界的に展開された結果です。お寺や宗教者が発信した声が日本の社会にこだましていくことを願っています。