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東日本大震災 写経はがきで本堂再建

2017年3月15日 17時13分

はがきに記された一文字一文字に思いが詰まっていると話す早坂住職
はがきに記された一文字一文字に思いが詰まっていると話す早坂住職

東日本大震災の津波で伽藍が流失した宮城県山元町の曹洞宗徳泉寺では、ようやく再建に向けての歩みが本格化している。檀家も被害に遭い、それぞれの生活を取り戻すのに精いっぱいの中で再建の資金源となったのは、全国から寄せられたはがきに記された「一文字写経」だ。

海岸から約270メートルしか離れていない徳泉寺は本堂、庫裏など全ての堂宇が流された。檀家200軒も被害に遭い、74人が犠牲になった。全く更地となった境内を目の当たりにして早坂文明住職(66)は「もう寺はなくてもいいのかもしれないと頭をよぎることもあった」と振り返る。しかし、震災から1カ月後に近くの水田から本尊が見つかったことで、再建への決意を固めた。

津波の被害があった山元町の一部は津波防災区域に指定され、住居を建てることはできず、以前に寺院の近隣にいた檀家は戻れない。再建した伽藍が、また津波で流失してしまう心配もあった。「移転も考えたが、この場所から寺がなくなることで、人々が集うことすらできなくなることを考えたらできなかった。寺の存在が、津波があったこと、そしてみんなの力で再建したのを伝えることになる」と考えた。

今月27日に地鎮式を行い、来年夏に完成予定だ。

「一文字写経」は、経文の中の1文字、あるいは願いを込めた1文字を記したはがきを5千円の納経料と共に納めてもらう。納経者には震災後に発見された本尊「一心本尊」のお守りカードを授与する。

現在、集まったはがきは約1600枚。納経料は約6千口を超え、本堂再建にかかる3千万円の目標に到達した。

震災後、檀家からは寄付を募ることができない中で早坂住職が思い付いたのが、写経や瓦での勧進だった。「1文字だけなら気軽にでき、はがきであれば全国から送ってもらうことができる。今できるのはこれしかない」(詳細は2017年3月15日号をご覧ください。中外日報購読申し込み