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<連載・断面>宗会⑨

2014年5月9日付 中外日報

女性議員と信徒議員 いろんな声集め発信

「日蓮宗の女性教師数は全体の約1割。議員45人なら4、5人は女性がいてもいいのでは」。昨年11月、同宗で女性として36年ぶり2人目の宗会議員となった宮崎県日南市の松野蓮香・白蓮寺住職は女性議員が増えてほしいと訴える。男女を問わず、出家在家の関係もなくいろんな声を集めて宗門運営に反映させ、宗内外に発信していくためには“開かれた宗会”が求められている。

「実際に宗会に出てみて、男性社会だと実感したが、気にせず何でもやらせてもらっている。女性教師はつい一歩控えてしまいがちだが、男女平等の現在の社会の中で、宗門の女性も積極的に中央に出てきて活躍してほしい」と松野さんは語る。

西山浄土宗で初の女性議員、澤田教英・安養寺住職は「これまでに尼僧が宗議会に出ていないこともあり、みんなを発奮させようと議員になることを決めた」と話す。

松野さんも澤田さんも女性の宗会進出への道筋をつけることを目指して議員となった、まさに“宗教界の市川房枝”だ。

しかし、現実には多くの伝統教団では男性ばかりの宗会がほとんどで、真言宗御室派や智山派からは「女性僧侶の絶対数が圧倒的に少ないから」という声も聞かれた。

過去2人の女性議員がいた浄土宗では、議員から尼僧の議員登用を求める発言もあるが、具体的には取り組まれていない。

真宗大谷派には現在4人の女性僧侶議員がいるが、130年の歴史を持つ浄土真宗本願寺派の宗会では、いまだに女性僧侶の宗会議員は一人もいない。

両教団は「僧侶だけでなく信徒の意見を教団運営に反映させよう」と、門徒が参画できる宗会の仕組みを設けている。

大谷派では「お東騒動」の後、僧侶による宗議会と門徒による参議会の二院制の宗会を設けて教団運営に門信徒が目を光らせている。その存在が功を奏して今のところ問題は起きていないという。だが、同時に予算案などの同様の案件を審議し、両議会で食い違った場合は宗議会の議決が優先される。

参議会議員によって「全国の寺院・教会は私たち門徒に対して運営、会計、経理について公開すべきだ。そのことが本山における宗務改革や募財制度の改革の実現につながる」など、金を納める側の門徒の立場からの議論が行われている。

本願寺派は一院制で門徒議員がおり、天台真盛宗では「在俗宗議会議員」、金光教では「信徒議員」と呼ばれている。

「僧侶が檀信徒より上に立っていると考える時代ではない。檀信徒の目線に立ち、本山や末寺に参拝した人が、どれだけ心が癒やされ、喜んでもらえるかを考えていかねばならない」。福岡の御室派元議員は、宗会が檀信徒の声に耳を傾ける必要性を強調する。

宗派予算を賄う賦課の原資が檀信徒の浄財ならば、有意義に使われるように寺院の代表だけでなく檀信徒の代表が参加するのも意義あることだ。

宗会の公開性、透明性を高めることも求められている。ほとんどの教団が「宗会は公開とする」と宗規に定め、事前申請や記帳によって傍聴可能だ。だが事情によって秘密会にすることもできるとの付記もあり、本会議以外の委員会、議員懇談会などは原則非公開とされる。曹洞宗と大谷派は傍聴の条件として議員の紹介を原則必要とする。

社会への発信のため報道関係者向けに記者席を設けている教団も多いが、大きな問題は秘密会になる傾向もある。昨年、教団資産の損失問題で揺れた教団では、宗務総長への不信任決議案が非公開の委員会で可決され、批判を受けた。

だが、報道関係者や職員を除けば、規模の大きな教団の傍聴者は会期1日当たり平均で4、5人程度。中小教団ではいない場合も多い。中外日報の宗会意識アンケートでは「宗会は有力寺院の集まりで一般寺院の感覚とかけ離れている」などの理由で「興味がない」と回答した人がいたが、せっかく公開されていても関心を持たれないのでは意味がない。

宗教の社会的役割が問われ、優遇税制の見直しまで取り沙汰されるほど世間の宗教に対する目は厳しい。“開かれた宗会”で健全な教団運営を示す必要がある。