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<連載・断面>新宗教①

2014年7月9日付 中外日報

対外活動在家信徒、利他行に喜び 生命の尊さ、若者に訴え

一般に江戸時代末期以降の教団が新宗教と呼ばれる。200年近い歴史を持つ教団から、近年設立されたところまで、「新宗教」と言ってもさまざまだ。在家を標榜する教団では、信徒たちが普通の社会生活を送りながら宗教者としての務めを果たすことを目指す。それだけに社会貢献に力を入れたり、一般の人たちも利用できる福祉施設や文化施設を設けたりしている。歴史ある教団では信徒の高齢化など伝統宗教と同様の課題も抱えるようになった。地域共同体の変化や単独世帯の増加など社会構造が移り行く中、時代の求めにどう新宗教教団が応えていこうとしているのか、その活動を通じて見ていく。

行楽日和の5月半ばの日曜日。川崎市高津区の住宅街で、「アフリカにおくる毛布を集めています」と拡声器で呼び掛けながらリヤカーを引く男女4人の姿があった。一軒ずつ住宅のチャイムを鳴らしては、余っている毛布がないか声を掛けていった。青年たちは立正佼成会川崎教会の会員。アフリカで困っている人の助けになろうと、休日をボランティアで過ごした。

同会の会員綱領には「家庭・社会・国家・世界の平和境(常寂光土)建設のため菩薩行に挺身することを期す」と、実践を重んじる法華経精神がうたわれている。会員の集まりで綱領を唱和することも多く、青年の一人は「誰かがやるのを待つのではなく、自分から動かないと」とリヤカーを引く手に力を込めた。

宗教団体は名を伏せて社会貢献活動を行い、布教の隠れみのにしているとの批判も一部にはある。しかし中外日報が主要な教団に質問したところ、どこも教団名を明示して行っていると回答した。

この日も住宅を回る中で、教団名を名乗ると反応が鈍くなることもあったが、町内会などはおおむね好意的に協力してくれた。教会近くの公園で開いたチャリティーバザーでは、町会のテントを借り受けたし、会員ではない町会長も綿あめ作りに汗を流していた。

多くの人でにぎわうバザー会場を眺めながら、実行委員長の金島一晃さん(30)は「ここまでの過程が意義深かった」と振り返る。昨年は準備に奔走するあまり、手取り(会員宅を訪問し相談に乗る修行)の時間を削ってしまった。その反省から今年は手取りに行く回数を増やし、その際にボランティアの話も添えた。すると思った以上の人が参加してくれ、「平和につながる活動を、みんなで楽しみながらできたことが良かった」と充実感を感じていた。

内閣府の「社会意識に関する世論調査」(2014年)によると、「何か社会のために役立ちたいと思っている」と回答した人が65・3%を占めた。1974年の35・4%から大きく上昇している。国民全体に社会貢献意識が高まる中、宗教者が社会活動を行うことについて、金子昭・天理大おやさと研究所教授は「宗教は社会貢献してこそ価値が発揮される」と話す。「教えを信じてもらうことによる人助けが布教であり、一方で相手の信仰を問わずに助けるのが社会貢献」と説明する。

大本では脳死・臓器移植反対など、政治にも関わる課題に積極的に取り組んでいる。精霊が肉体から離れることを死とする、出口王仁三郎教祖の教えに基づくものだ。98年に「ノンドナーカード」(脳死臓器移植反対意思表示カード)を製作し、200万枚以上を配布。外郭団体の人類愛善会は「脳死は人の死ではない」旨の街頭署名を87万筆以上集め、厚生大臣に提出した。

同会の出口篁氏は「年配の人は反対運動をよく理解しているが、若い世代は知っていても勉強している人が少ない。親子や家族で話し合って、運動を次世代へ継承していきたい」と望む。

また死刑廃止を訴え、原発やES細胞作製に反対するなど、生命が尊ばれる社会の構築を目指している。大本本部の松田一・亀岡宣教センター長は、教祖が若き日に高熊山(京都府亀岡市)で修行し「人間にも動植物にも神様の霊が宿るという生命観を悟られたことが、今日の生命倫理活動の原点だ」と説明する。

妙智會では、NGO「ありがとうインターナショナル」を設立し、子どもたちにより良い環境をつくる活動を続けている。宗教宗派の垣根を越えたネットワークを世界中に築き、倫理教育プログラムを作成したり、孤児院の支援に取り組んだりと、その活動は海外に広く普及する。「宗教者としての祈りと行動を重視しており、日本の会員にとっても宮本ミツ会主の願った世界平和実現への貢献を実感することができる」と事務局では見ている。

こうした活動には、多くの若い会員たちが積極的に取り組み、信仰を深めるきっかけとなっている。