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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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<連載・断面>新宗教②

2014年7月11日付 中外日報

青年の動向同世代と語れる居場所

柔らかな緑色のじゅうたんが広がる真如苑・応現院(東京都立川市)の「如来の間」。数十人の若者グループがあちこちで車座をつくっている。法要後に信徒たちが開く自主的な会合で、その輪の一つに同市の会社員・鈴木祐也さん(仮名、33)の姿があった。この日は今秋の弁論大会の予選に誰が出場するかを決めるため、3人が体験談を発表。投票の結果、鈴木さんが代表に選ばれると、はにかみながら合掌し激励の拍手に応えた。肩に掛けた紫の襟袈裟が静かに揺れていた。

鈴木さんは22歳の時、音楽でビッグになろうと福岡から上京。しかし1年が経過するころ、バンドのメンバーが集まらず、自分の腕にも自信を失いかけていた。そんな時、5歳ほど年上のボーカリストと出会った。

ある夜、その男性と歩いていると、中年女性が道端でうずくまって泣いていた。見ず知らずにもかかわらず、男性はすぐに駆け寄って声を掛けた。すると女性はせきを切ったように悩みを語りだす。ファミリーレストランに入って聞いていると、いつしか夜が明けていた。その間、男性が少しも嫌な顔を見せなかったことにも驚かされた。

似たようなことを何度となく男性がしていると知った鈴木さんは、なぜ他人にそれほど親身になれるのだろうかと不思議に思い、同時に「この人のようになりたい」と憧れるようになった。そして真如苑の信者であることを知ると、応現院に連れて行ってもらい、その場で入信した。

「かつては全ての行動が自分のためだったが、他人のためにすることが喜びだと知った」と鈴木さんは明るい笑顔を見せる。そして同じ世代の青年と信仰できるのが単純に楽しいとも語る。

國學院大グループが2009年に行った「日本人の宗教団体への関与・認知・評価に関する世論調査」で、「信仰を持っている」と答えたのは、60歳以上で40・1%。年齢が下がるにつれて割合は低下し、20歳代は12・2%。熱心に信仰している若者がいるものの、日本全体から見ると少数派だ。

辯天宗の樋野祥陽・総務部長は「お導きを呼び掛けても、『特別な人のやること』『私にはできない』といった反応が返ってくる。若い人は拘束されることを嫌がり、組織に入ることに抵抗感がある」と話す。

一方、15~39歳の死因第1位は自殺となっており、10年前に比べて40歳代以上の自殺率は各年代とも低下しているのに、20歳代だけが上昇した(内閣府『自殺対策白書』14年版)。「今は経済環境が厳しく格差社会で、若者にも閉塞感がある。心の安らぎや癒やし、生きている意味など魂に触れるような宗教が必要とされている」と樋野氏は認識する。

霊友会では、全会挙げて青年の育成に力を入れるのが教団の伝統だ。創立者・久保角太郎恩師は、より良い国づくりのためには法律などの仕組みだけでなく人の心を変えていかねばならず、そのためには青年の健全育成が重要だと考えた。その思いを受けて小谷喜美・初代会長が1954年に青年部を発足させ、今年創立60周年を迎えた。

青年部員は全会員の約3割を占めており、教団行事も青年部が先頭に立って行うものが多い。7月13日の創立記念日に合わせて開かれるイベントは青年部員が企画・運営を担当し、先輩たちは口を挟まない。今年は「縁JOYニッポン!」をテーマに、日本の良さを見直し、それぞれの縁を喜びに変える機会とする。こうした行事の準備や奉仕活動をしていくうちに、仲間の絆が強まり、生きる力が育まれている。

末吉将祠会長はよく「霊友会の教えは、知る教えではなく実行する教え」と説く。教えを伝えたり悩みを聞いたり、行動しているうちに実感として教えが理解できるのだという。木村隆志・企画広報室長は「身軽な青年のうちに動けるだけ動いて、早いうちに教えのベースを体得できれば、それだけ多くの時間を世のため人のために使えることにもなる。自分も青年の一人として、心と体を使って、親・先祖から頂いた命を生かしていきたい」と語る。

教団の中で青年の若々しい活動が際立って映るが、それは日本そして各教団が高齢化していることの裏返しともいえる。