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<連載・断面>賦課金 第3回

2014年9月17日付 中外日報

門徒の懇志、会費制目指す

みんなで支える

教団・本山の護持運営費を全国の寺院・僧俗で平等に負担するのが、宗費賦課の理想的な在り方だ。真宗大谷派は宗門の将来像を見据え、「院号料・収骨料」化した門徒の負担金「相続講金」を見直し、新たに会費制の護持金制度の導入を目指す財政改革論議を進めている。会費制は僧俗が「みんなで支える」理想の制度だが、現状の相続講金をどう位置付けるかなど課題も多い。

「院号・収骨が礼金に変わるとしても、相続講金としてこれまで納めた金も『(礼金として)使えるのだろうな』という話になるだろう」。与党会派の幹部は相続講金見直しに伴う課題の一面をこう指摘する。

大谷派の2014年度一般会計歳入予算総額は90億6600万円。このうち約6割の53億円が「御依頼割当」として地方の全寺院に割り当てられ、その大部分の49億円を相続講金と呼ばれる門徒の懇志が占める。

「宗門に属する全ての僧侶・門徒が等しく宗門財政を担う『同朋会運動推進負担金(仮称)』の導入を目指したい」――杉浦義孝・前財務長は2012年の宗議会で議員らにこう呼び掛けた。安原・前内局は同年の宗議会に先立ち、親鸞聖人750回御遠忌後の宗門を展望する「点検総括と課題提起」を機関誌『真宗』に発表。「従前の募財体制である相続講制度に依存」しない新たな宗門護持金制度として、僧侶・門徒が一律に負担する同朋会運動推進負担金の導入を提案した。

宗門には同朋会運動の財源となる同朋会員志金があるが予算に占める割合は約3%で、推進負担金はこれに代わる新たな会費制のシステムと位置付けられる。

薄れた護持意識

相続講金は「門徒一人一人が真宗本廟を護持すること」を目的に明治期に始まった。「教財一如」と呼ばれる本山護持体制で、大谷派独自の懇志として今日まで宗門財政の基盤となってきた。院号法名の授与と真宗本廟への収骨は相続講金納入の「賞典」として門徒に認められていたものだ。

ところが「実情は必ずしもそうなっていない」と梛野大輔・財務部次長は話す。「門徒さん全員に護持金として拠出してもらい、皆で広く宗門を支えるのが本来の趣旨だが、近年は院号・収骨の賞典が目的化し『法義相続・本廟護持』という相続講金本来の意味が薄れてきた」という。

総括提起では院号・収骨について、相続講金の賞典とする現在の位置付けを改め、講金とは切り離してそれぞれ礼金化する方向性を打ち出した。「寺院・門徒さんに本山との関係をあらためて築いてもらう」(梛野次長)のが狙いだが、一方で「院号・収骨の習慣は地方によって違う。習慣のない熊本などは既に同朋会員志金として納めている」と与党会派・真宗興法議員団の但馬弘幹事長が述べるように、相続講金の運用は地域や寺院によりさまざまだ。

地域で違う習慣

院号・収骨の希望者が多い東海地域の教区では、相続講金の「院号料・収骨料」化が進み、両者の切り離しに否定的な意見が根強い。九州では院号・収骨の習慣自体がないとされる。「切り離しにはさまざまな議論があるので、慎重に協議していく段階」(梛野次長)だが、既に相続講金を院号・収骨の礼金として長年納めてきた門徒には、講金との分離は“二重取り”となる可能性もある。

里雄内局は昨年の内局巡回で全国の教区・寺院と意見を交わした。富田泰成・財務長は今年の宗議会で「財政改革は避けて通れない宗門の重要な課題だが、本山に届けられている懇志にはさまざまな納め方があるとあらためて実感した。長い時間をかけ培われてきた現在の募財体制を統一した形に変更するのは容易ではない」と述べ、改革の困難さを認める。

但馬幹事長は「全門徒から拠出を得るという総論には誰もが賛成だが、各論では地域・教区の事情でいろいろな問題がある。内局・議員・教区がお互いの事情を酌んで、共通の理解を広めるしかない」と話す。