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<連載・断面>曹洞宗の現状と課題 第3回

2014年11月28日付 中外日報

改革に向けた青写真を

まず規程の是正

總和会の中村見自議員(現教化部長)が2012年、会派を超えた勉強会「宗議会議員宗政研究会」を立ち上げたが、今では若手を中心に両会派から40人を超す議員が参加するようになった。總和会で議論すら許されなかった選挙制度についても勉強会を行ったが、中村議員は「選挙制度を単に過去に戻すだけではいけない。対案をしっかりと議論していくべきだ」と強調する。

宗政の課題や問題点をデータ化し分析している東京有道会宗政研究会の英聡道・鳳生寺住職は、選挙制度改革が具体的に進展しなかったのは「『改革』という言葉が独り歩きして、何のために改革が行われるべきかという議論が十分されてこなかったことと、改革後の青写真を描いてこなかったためだ」と語る。

昨年10月に英氏ら同研究会がまとめた「宗政問題資料(素案)、選挙制度改革の現状と方向性の考察」は46ページにわたり、選挙制度の問題点や、改革の方向性などを模索している。その中で、議会の在り方を変える「大きな選挙制度改革」と、選挙規程の不備を直す「小さな選挙制度改革」に分けて検討していく必要性があると指摘。さらに「大きな選挙制度改革の青写真がない現況では、まず小さな選挙制度改革、つまり規程上の不備を是正することを突破口として、大きな選挙制度改革の環境を形成していくことが賢明だ」としている。

宗門の刷新期待

その一方で、英氏は「(選挙制度など)多くの制度改革の議論は、一般寺院不在に等しい議会運営、宗門行政への不満の表れで、期待しているのは宗門の刷新だ」とも訴えている。

確かにこの30年、宗門を揺るがす大きな問題が幾つも起こった。宗門関連校だった旧多々良学園の校舎移転への助成、そして経営破綻後の民事訴訟などで30億円を超える莫大な金額を費消した。駒沢大のデリバティブ運用の失敗などもあり、一般寺院からは「宗門の対応は後手に回っている」と批判の声が上がり、宗議会の在り方が問われている。

05年2月の宗議会で中村議員が、旧多々良学園の経営破綻の問題に関して議会で真剣な議論ができていないとし、「議会がセレモニー化(形骸化)している」と発言すると、宗議会は空転し、発言は議事録から削除された。しかしその中村議員が今年6月、総括質問で「もっと宗議会の在り方を簡素化し、活発な質問と回答が飛び交うダイナミックな議会にすべきだ」と訴えると、賛同する議員が出るなど、次第に議員間でも宗議会の改革の必要性が認識されつつある。

25日に檀信徒会館で開かれた第23回總和会全国大会でも、九州ブロックの代表者が、宗門と同じ財政規模の地方自治体が徹底した業務の見直しを行っていることを挙げ、「多々良学園の問題といい、宗門は財政、制度について本当に改革を行っているのか」と、宗務行政の在り方をただした。

両会派話し合い

有道会は9月の選挙前に発表した会方針「有道会がめざすもの」で、「系列同数の原則を維持し、投票の秘密性を守るとともに、連記制度等について検討を加える」と明言している。釜田隆文・有道会会長が10月に宗務総長に就任し、11月からは両会派の会長らによるトップ会談も始まった。その中で、既に選挙制度改革についても話が出ているとされる。釜田会長は「總和会と足並みをそろえて、議論を進めたい」と話し、任期中の4年間に選挙制度改正に着手したいとの意欲を示している。

成田隆真・總和会理事長も「両会派の議席が同数であることが担保されていれば、連記の改正については大きな問題ではない」と語る。

両会派とも同数制に代わる大きな改正案は持ち合わせていないが、長らく実現できていなかった「小さな選挙制度改革」に向け議論する環境は整いつつあるようだ。激動する社会情勢の中で、宗門、宗議会の活性化に向けた改革にかじを切ることができるのか。「小さな選挙制度改革」の行方に宗門人は注目している。

(おわり)