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笏を宗道氏(左)に手渡す宗晴氏
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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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風鐸

宗教や社会の諸情勢について思いをつづるコラム。軒下につるした風鐸の音色のように、読者の心に響くことを願って……。

復興の桜は咲くか

2017年9月6日付 中外日報

JR京都駅近くを歩いていて、歩道脇に高さ2メートルほどの桜の木が新たに植えられているのに気付いた。添えられた「ふくしま サクラメモリアル プロジェクト」とのパネルに「福島をもっと身近に 子供たちの思いのメッセージを桜とともに全国に」という趣旨と、それに賛同して京都市が植樹したことが記されている◆東日本大震災と原発事故からの復興を願い、東北の人たちを支えようという桜植樹運動は様々にあり、福島産の八重桜の新種「はるか」を植える取り組みも、全国各地や地震被災地・熊本県益城町でも繰り広げられている◆一方でなお広大な帰還困難区域が残る福島県では、無人の町が荒れ放題となっている。「原子の灰が降った町にも…草木は花を咲かせる…花は咲けども 春を喜ぶ人はなし 毒を吐き出す土の上 恨めし悔しと花は散る」。東北のフォークグループ「影法師」の歌がネットでも支持を広げている◆京都駅前の桜のパネルには、かわいい文字で「僕たち福島を支えてくれたたくさんの人たちに恩返しができていますか?」と子供らのメッセージが書かれている◆いまだに放射能汚染で多数の住民が故郷を追われ続け現在進行中で苦難が続く彼の地を、遠く離れた電力巨大消費地の私たちは、支えるどころか忘れ去ってはいないか。炎天下に揺れる緑の葉がそう問い掛けているように見えた。(北村敏泰)