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中山法華経寺で修法師となり木剣を振る行僧たち
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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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風鐸

宗教や社会の諸情勢について思いをつづるコラム。軒下につるした風鐸の音色のように、読者の心に響くことを願って……。

地味な公益

2018年1月31日付 中外日報

東京で大雪の降った日の朝、駅前のパチンコ店の前に人の列ができていた。新装開店を待つ人が並んでいたわけではない。駐輪場に人が通れる幅の雪かきがされており、雪の積もった歩道を避けて行く人たちの列が進んでいるのだった◆この駐輪場を横切ると駅まで少し近道できるが、通常の出勤時間帯は開店前でチェーンが張ってある。前夜から降り続いた雪を見て、店の誰かが寒い中を早起きし、人一人通れるだけでもとシャベルを振るい、鎖を外したのだろう◆店員総がかりで周辺を雪かきしたり、道行く人に熱いコーヒーを振る舞ったりすれば、店のアピールにもなる。それをあざとい魂胆とまでは言うまい◆公益法人制度改革の関連法が施行されたのは10年前の2008年だ。宗教界でも多くの財団・社団法人が公益認定に頭を悩ませ、宗教法人の公益性について盛んに議論された。お寺離れという時代の流れもあり、公益を意識しつつ地域に開かれた寺社を目指す活動が増えた。喜ばしいことだが、派手な催しや行いばかりが脚光を浴びてしまった面も否めない◆町の人が歩きやすいように雪かきするような、地味な行為がもっと注目されていい。いっそ公益認定を役所ではなく、一般の人々の判断に委ねたらどうだろうか。営利企業であるパチンコ店が利益に直結しない行為に汗を流しているところに学ぶ点がある。(有吉英治)