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風鐸

宗教や社会の諸情勢について思いをつづるコラム。軒下につるした風鐸の音色のように、読者の心に響くことを願って……。

笑いこそ武器

2018年5月9日付 中外日報

1889年4月16日、チャールズ・チャップリンが英国で生まれた。その4日後、アドルフ・ヒトラーがオーストリアで産声を上げた。世界を爆笑させた喜劇王と戦争で世界を破壊した独裁者。同い年の二人は映画という戦場で激しく戦った仲でもあった◆20世紀に発展した映画をプロパガンダに活用したのがナチスだったことはよく知られている。壮大な党大会にベルリン五輪。壇上で獅子吼するヒトラーの映像に大衆は熱狂した。一方、チャップリンは山高帽にちょびひげ、だぶだぶズボン姿のドタバタ劇で大スターになった◆ナチスはチャップリンの映画を敵視した。「ユダヤ人」のレッテルを貼ってドイツ国内で上映禁止にした。チャップリン研究者の大野裕之氏によれば、彼の人気と平和主義、ちょびひげに脅威を感じたためという◆チャップリンは大作「独裁者」で対抗する。地球儀の風船と踊る主人公の狂気を描き、ラストはそのにせ者が平和を呼び掛ける大演説。ヒトラーを徹底的に茶化した。映画公開後、ヒトラーの演説回数は激減したと大野氏は指摘する。演説すればちょびひげのイメージがダブるからだ◆「笑いこそ最大の武器だった」と大野氏。一党独裁の某国では言論思想統制が一段と強化されたという。ネット監視も厳しい。指導者が最も恐れるのは実は大衆の笑いのタネにされることかもしれない。(士竪俊一郎)