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風鐸

宗教や社会の諸情勢について思いをつづるコラム。軒下につるした風鐸の音色のように、読者の心に響くことを願って……。

教祖の処刑

2018年8月1日付 中外日報

オウム真理教の教祖・麻原彰晃と元幹部12人の死刑が先月執行された。中高年世代にとっては、地下鉄サリン事件をはじめとするオウムの数々の犯罪は、いわば目の前で展開された。事件を知った時の驚き、怒り、どう処理していいか分からない不快感などが改めてよみがえる◆一連の事件の発覚前、麻原の「空中浮揚」の写真を表紙にした本が大書店の入り口辺りに平積みされていたのを思い出す。当時流行の「超能力」開発が信者勧誘では効果的だったようだ。胡散くささも生半可ではなく、ある大学の講演会では「浮かび上がってみせろ」といった野次も飛んだ◆麻原は政界進出を目論んだが、選挙で惨敗し、教団内で国家制度を模した「省庁制」をつくった。その延長で反社会的傾向をエスカレートさせ、無差別テロを企てて実行した。教祖・麻原の妄想、宗教教義の曲解、幹部らの集団的狂気は検証が行われているが、未解明の部分も依然として残っている◆処刑された麻原が信者によって神聖化されるのではという危惧は、宗教の歴史を顧みれば杞憂とはいえない。事件の最大の責任は麻原にあるが、閉鎖的な集団が暴走を始めた経緯はさらに深い分析が必要だ◆他者を巻き込みつつ破滅に至る暴走は閉鎖的小集団から国家レベルまで、いつでも起こる可能性がある。オウム真理教事件の分析から学ぶべきことは極めて多い。(津村恵史)