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風鐸

宗教や社会の諸情勢について思いをつづるコラム。軒下につるした風鐸の音色のように、読者の心に響くことを願って……。

恵方巻き

2019年2月6日付 中外日報

節分の風物詩となった「恵方巻き」が今年は論議の的となった。昨年、スーパーなどで恵方巻きが大量に売れ残って廃棄処分されたことが問題になり、農林水産省が1月、業界団体に対して「貴重な食料資源の有効活用」を文書で通知したからだ◆通知は「需要に見合った販売の推進」を会員企業に周知し、廃棄食料を減らすよう呼び掛けた。食べられるのに捨てられる「食品ロス」は日本では年間約646万トン(2015年度)、東京都民の1年分の食料に相当するという◆背景に食品流通の「3分の1ルール」があるとされる。製造日から賞味期限までを3分割し、納品は製造日から3分の1、販売期限は賞味期限の3分の2に当たる日とし、その日を超えた食品は、たとえ問題なく食べられる品質でも撤去、廃棄する商慣習だ◆節分に恵方を向いて巻きずしを黙して食べる風習は、さほど古いものではない。諸説あるが、昭和初めの大阪・船場の商家あたりが発祥らしい。その後、巻きずしの海苔や厚焼きなど関連業界が宣伝に努め、小売すし店チェーンが全国に広めた。バレンタインデーのチョコレートと同様の便乗商法と言っていい◆過剰生産で食品が捨てられる一方、飢餓に苦しむ世界があるのも現実。この矛盾をどうすればいいのか。妙案は思い付かないが、取りあえず恵方巻きを残さず丸かじりすることから始めたい。(士竪俊一郎)