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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

死と向き合って 2(1/3ページ)

2012年1月17日付 中外日報
墓石の大部分が破損、流失した江岸寺の墓地。プレハブの仮本堂、寺務所の向こうには市街地の廃虚が広がる(岩手県大槌町で)
墓石の大部分が破損、流失した江岸寺の墓地(岩手県大槌町で)

寺にとって「場」は命

離れてどうするのか

岩手県大槌町の曹洞宗江岸寺があるのは町の中心部だ。だが周囲は津波と大火で、まだ見渡す限りの廃虚。執務中の町長をはじめ職員32人が死亡・不明となった役場庁舎も残骸をさらす。

焼けただれた小学校の鉄筋コンクリート校舎は内部がめちゃめちゃで、倉庫代わりになった教室には救援物資やアルバムなど流れ着いた遺品類が展示されていた。玄関の二宮金次郎像前に犠牲者慰霊の花束が供えられ、グラウンドには役場、消防、警察の仮設プレハブ庁舎が立ち並ぶ。

瓦礫を積んだトラックが土埃を上げて走る道路から少し入ると、家々の土台と散乱する泥だらけの生活用品、子どものおもちゃなどが、辛うじてそこが暮らしの場であったことを物語る。

近くのJR大槌駅は、何とか残ったホームと引きちぎられて根元だけになった跨線橋の鉄骨以外は駅舎も線路の跡形もなかった。

1万6千人の町民のうち1320人余りが死亡・行方不明とされるが、江岸寺の僧侶大萱生知明さん(46)は「実際にはもっと多いはず。一家全員が流されて届けさえ出せていない家族もあります」と言う。