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倒壊した浄土真宗本願寺派法城寺の鐘突き堂(むかわ町)
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

死と向き合って 2(2/3ページ)

2012年1月17日付 中外日報

1600軒の檀家を抱えていた寺は壊滅。当初、「町がどうなるかも分からないのに寺が復興しても、ぽつんと取り残されるのでは」と悪夢がよぎり、何も考えられない日々が続いた。

だが4月に入り、檀家から亡くなった人々の供養の依頼が来るようになる。離れていて無事だった親戚の浄土宗大念寺で法衣を借り、同寺や被災を免れた江岸寺の別院で、兄の良寛副住職(53)と避難先から通って交代で葬儀を挙げた。

遺体安置所にも足を運んだ。ほぼ全員が顔見知りの地域なのに、無残に変わり果てた姿はどこの誰かも分からなかった。

並行して自衛隊、続いて大勢のボランティアの手で境内の瓦礫撤去が進んだ。檀家も手伝ってくれたが、石の間から遺体が見つかったりする。仮寺務所も設けた。プレハブが「2倍で良心的、3倍で当たり前」の高騰だったため中古でしのぎ、遺族が葬儀や位牌の相談に訪れる場となった。

「苦難の毎日です」。葬式は日に4、5件。1回で家族6人の例もあり、12人を3件、1日で弔ったことも。遺族は避難所暮らしだが遺骨を寺で預かるわけにいかず、大念寺に間借りして最大で200体近くを委ね、供養に通った。

くたくたになり、「この事態は一体、何なんだ」の思いだった。故人には幼なじみも知人も多い。檀家の3歳の男児が遺骨を前に「お空に行っちゃったんだね」とつぶやき、祖母が嗚咽した。

葬儀で読経しながら涙が止まらず、途中で「もう拝めない」と大念寺住職に代わってもらったことも。喪主の小声の挨拶を聞くとその気持が痛いほど分かり、こみ上げるものを抑えきれずに外へ出て泣いた。