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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

死と向き合って 6(2/3ページ)

2012年1月26日付 中外日報

そんな中で亘理町長が観音院の本郷正繁住職(69)に協力を依頼してきた。周辺で900人近い死者が出たが、よそで拒絶され埋葬の土地が見つからないのだ。

寺は堂々たる伽藍に被害はなく、本郷住職は55歳まで町役場に勤務していた。何より「皆が困っている時に助けるのが寺だ」との信念があった。

業者さえ作業に尻込みする状況。杉林の前の広い空き地に大きな穴が何本も掘られた。多い日には20体以上運ばれてくる遺体。幼い子供もいる。棺をパワーショベルの10メートルのアームの先につり下げ、回転してゆっくり下ろす。30センチの間隔で板仕切りがされた。

本郷住職は長男の隆博副住職(43)と交代で、一体ずつ般若心経を上げて供養した。悲惨な死の上に土に埋められることに、立ち会う遺族の苦悩が痛いほど伝わった。

最後に顔をと、棺のふたを開けると遺体の傷みがひどい。赤黒い顔で口を開けた故人に「なんで一緒に逃げられなんだ」とすがり付く姿もあった。穴がふさがり一人ずつ名前を書いた札が立てられても、冷たい地の底の肉親を思う人々の心は凍りついたままだった。

あくまで仮の土葬だが、町内では遺体の腐敗に「早く埋葬せよ」との声と、「なぜ埋めるのか」という叫びが交錯していた。東松島市では大量の遺体に陸上自衛隊が動員され、マスクを着け棺を担いでは埋めた若い隊員たちの心的ダメージが心配された。

身元不明者も多い他の現場では角材の「墓標」に「485」などの番号が付された。宮城県内の6市町で土葬されたのは4月下旬までに1900体に上ったが、岩手県の寺では、穴が掘られたが遺族の反発で結局見送られた。