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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

死と向き合って 7(2/3ページ)

2012年1月28日付 中外日報

本郷住職は犠牲者の遺族に必ず、「お寺で供養していますから安心してください。大変でしょうが皆さんで助け合って生きてください」とじっくり話をする。平易な言葉だが、亡くなった人の思いを受けて「生きよ」と訴える強いメッセージ。

なじみの薄い宗教者の流麗な説教ではなく、それが力を持ち得るのは、普段特に目立ったことはしていなくても長年培われた関係性があるからだ。そこから「もうこれ以上、誰も絶望で破滅に追い込まれないように」との決意が湧いた。

本郷住職は死者と深く関わることによって「いのち」に寄り添い、生き残った人々の悲嘆に寄り添ったように見える。

震災後、「グリーフケア」「心のケア」がさまざまに取り組まれ論議されている。阪神・淡路大震災がボランティアを日本社会に根付かせる大きな契機となったように、今回の震災で悲嘆ケアの重要性が広く認識されることになるだろう。

そして阪神でもそうだったように、状況が宗教者の人々への関わりの姿勢を問い掛け、彼らの背中を強く押している。

観音院は平安末期の創建から890年もの歴史を重ねた。昭和40年に就任した本郷住職は、大正期に再建された伽藍をこつこつと拡張した。

550軒の檀家の90%は農家で互いに先祖代々の付き合い。古いしきたりで従来はほとんどが自宅葬だった。が、負担軽減をと5年前に寺に会館を建て、亡くなった人を預かり葬儀をしている。