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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

死と向き合って 8(3/3ページ)

2012年1月31日付 中外日報

3月11日深夜に設営した体育館の安置所には翌朝から続々と遺体が搬入された。3日でいっぱいになり、閉店したボウリング場にも拡張した。床一面にビニールシートをガムテープでつないで敷き詰め、毛布にくるまれた遺体を並べる。海水で膨れ上がりほとんどが無残な状態で、下から泥だらけでゆがんだ足がのぞいていた。

市長室隣に本部を構えた自衛隊の名古屋の連隊が搬送する。警察と医師が2カ所で検視し、名前が判明すれば市職員が死亡届の書類を作って家族に引き渡した。身元不明者は衣服や体の特徴をメモし、毛布に貼り付ける。納棺は葬儀社の専門家に依頼し、避難所暮らしの遺族のために葬儀会館で遺体を預かった。

市長の強い意思で土葬を避けるため、山形や東京も含めて火葬場を確保した。沿岸部で被災した市の斎場も2週間で仮復旧させ、日に6体の処理能力にもかかわらず、「炉が壊れても仕方ない」と20体を火葬した。

皆の協力で仕事は順調に運んだ、と評価はしている。だが同時に、「『死』が何も分かっていなかった」と木村さんは言う。いや、だからこそ、心に大きな穴が開いたような思いに至ったのだ。僧侶として。

(北村敏泰)