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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

死と向き合って 11(2/3ページ)

2012年2月7日付 中外日報

市役所内では被災者相談コーナーや市民課の窓口職員が来庁する市民に「おはようございます」「ありがとうございました」と努めて明るく挨拶し、プロ野球楽天イーグルス選手らの激励の寄せ書きも見られるが、掲示板の周辺だけは時空が凍りついていた。

遺体を担当し続けたクリーン対策課長の真宗大谷派宝林寺副住職・木村敏さん(51)は、市内の曹洞宗の寺に不明者の遺骨安置を依頼した。震災百カ日の6月18日には課が主管して合同慰霊祭を開き、遺族のために市の行事と市仏教会の供養祭とをうまくつないだ。「やはり坊さんですね」と自他が認める。

5月から休日に自坊で法務を再開した。それまで震災関連の葬儀が8件あったが役所が多忙で父の住職(81)に任せていた。市職員として膨大な死者に向き合い、送った経験を胸に、今後「うちの寺での葬儀もしっかりやらにゃなあ」と呟く。

葬式の法話では当然、震災の話になる。だが以前のような説教ではない。「死」が体に張り付いているからだ。

「誰にとっても、宗教者にとっても今回のことは最大の転機でした。大量死を前に国民の意識が揺らいでいる。そういう時に方向性を示すのが僧侶だけでなく宗教者の使命でしょう。自分の命は自分の命じゃない、何かの働きだとどんな宗教もそれを言っています」