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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

原発さえなければ 7(2/3ページ)

2012年3月6日付 中外日報

浪江町から避難している真言宗室生寺派大聖寺の青田敦郎住職(51)は「科学技術過信が大きな間違いだった。未熟な技術である原発は減らしていかなくては。仏教界全体は当事者意識を持ってほしい。もっと地元の立場を理解して」という。

「この年になってこんな目に」「避難先で死んだらどこに埋葬されるのか」「骨になっても放射線にさらされるのか」と、故郷を追われた檀家の悲痛な叫びを聞いているからだ。

まき散らされた高濃度放射性廃棄物にはプルトニウムなど数十万年も消失しないものもある。地区全体の除染、あるいは帰還のめどはまったく立たないのだ。そして将来の「生き方」論議より前に、現に国中に54基もの原発がひしめいている。

浪江町役場が町民1万1千人に行ったアンケートでは、3人に1人が「もう町には戻らない」と答えた。6割を占める「戻りたい」のうち70%は「汚染の低減、生活基盤整備、他の町民が戻る」を条件にし、待てる期間は「3年以内」が半数だった。自由回答には「子育てが終わったら帰りたい。ふるさとですから」「一日も早く元の町に戻して」。町存亡の危機を前に住民の悲鳴が聞こえる。

国は昨年10月に南相馬市など「緊急時避難準備区域」を一括解除したが、浪江は対象外。また12月には避難区域の見直し再編の方針が発表されたが、具体的内容は未定で、線引きによっては地元に新たな問題が生じることが懸念されている。

青田住職にも大聖寺の今後が見えない。もし避難措置が解除されれば戻りたいが、汚染の不安もあり寺だけ戻って住民がいなければどうしようもない、と心配だ。全ては行政の対応次第だが、「各地の檀家と連絡を取り合って法事などを続ける。防護服ででも寺に入ってお骨を預かり供養せねば」という。

若いころから僧侶のあり方について勉強し考えもしてきた。「苦しんでいる人たちに、少しでも楽になるようにするのが使命です。それは難しい言葉の教義というより仏教の根幹。だから皆さんのためにお経を上げられるのは喜びです」