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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

原発さえなければ 11(2/3ページ)

2012年3月24日付 中外日報

史上最悪レベルの事態に早々と「冷温停止」と収束宣言を政府は出したが、年明けになっても不安な情報が次々出てくる。「避難で地域がばらばらになり皆が孤立している。阪神大震災の教訓は生かされていない」

行政は全県民の被ばく状況や健康の調査を進める。だが内部被ばくの検査会場で子供が「検出量は少ないから大丈夫。心配なら排出のために水を飲みなさい」と言われているのを見て憤りが頂点に達した。「海外に技術力をPRして原発を輸出までしようというのに、人間の保護はどうなっているのですか! 追跡調査してデータを取られるだけで、しっかりした医療対策がないなら、私たちはモルモットです」

住民からも同じ言葉を聞いた。放射性ヨウ素被ばくを調べる甲状腺検査を受けた女児が「私、がんになるの?」と漏らした言葉に父親は答えることができなかった。去るも、残るも地獄。

石川住職は事態の根底に、技術や文明の「無明」を見る。26年前のチェルノブイリ原発事故で広範囲に放射能が降り注いだベラルーシでは汚染地域が今もなお国土の10%を占める。農作物など食料品は徹底して検査され、子供たちは寮に入って診断、治療そして教育も受けられる手厚いシステムがある。

一方で広大な土地で除染が断念され、対策はまだあと20年以上続くという。四半世紀にわたるこの教訓、なぜそんな事態になったのかは、顧みられているか。責任の所在は明白だ。

東京電力は、一般住民や事業者などに分けて賠償手続きを進めてはいる。だがその申請は極めて煩雑で膨大な書類を準備せねばならず、被災者から「被害者なのになぜこんなことを強いられるのか」と怒りの声が強い。それは政府にも向けられる。

交通事故などなら被害者が加害者に賠償を求められるのに、「そこへ国が割って入ってとんでもないことにしてしまった」という石川住職は「東電原発事故被災寺院復興対策の会」相談役をしている。真言宗寺院18カ寺で、浪江町の大聖寺の青田敦郎住職も加わっている。