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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

原発さえなければ 11(3/3ページ)

2012年3月24日付 中外日報

甚大な寺院の損害だけでなく「檀信徒の救済」「寺院の恒久的存続」などの要望書を出した。だが補償交渉は進んでいない。「宗教と行政」の壁、そして「国は県仏教会を通せなど、注文ばかり付ける。当事者は私たちなのに」と石川住職。

他にも浄土宗や曹洞宗寺院の会が東電と交渉をしている。「仏教界全体で受け止めてほしい」と訴える住職らに応えるように被災地以外でも学習会などが開かれる。2月には京都で仏教者有志の反原発デモも行われた。

「怒り」や政治的な問題との関わりについて、宗教者の立場から論議がある。石川住職は「もしわが子が理不尽にいのちを奪われるとしたら、あなたはどう対応するか。子の親としてか、宗教者としてか。怒りを持たないようにとある仏教の『十善戒』とどう結び付けるのかです」という言い方をした。

その戒は「不瞋恚」だが、「不妄語」「不邪見」の戒もある。うそをつかず、誤った見方をしないことだ。「安全」と言い続け、ひたすら原発政策を推進してきた業界、旧政権以来の政官界、そして「原子力村」といわれる関係者がいる。

石川住職は「人々が苦しんでいる現実、地域の実情に密着して努力するのが寺や僧侶であって、何の努力もしないで高い所から宗教者はこうあるべきだと言うだけなら、こんな事態を招いた政治家と同じ。そしてそれは現実の政治に流されていることでもあるのです」。そう力を込めた。

(北村敏泰)