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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

原発さえなければ 14(2/3ページ)

2012年3月31日付 中外日報

作業は、檀家有志や近所の住民、そして僧侶も含むボランティアや地元企業関係者が行い、住民が出した汚染土を回収して密封する。ボランティアは常円寺のブログなどで全国から宿泊付きで募集している。

通学路などで汚染された雑草の刈り取りや溝の土壌の除去、アスファルト路面や石垣の高圧洗浄機での除染も行っており、色とりどりのレインウエアやビニール合羽姿の市民ボランティア、剃髪の頭にタオルを巻き、マスクを着けた若い僧侶たちが街頭へ繰り出す。

1時間も作業すれば汗がにじみ、集まった重い汚染土を担いで「除染太助」に入れるとほっと一息。使ったマスクやゴム手袋は寺の前に置いた回収箱に廃棄する。

「こんな一寺院でも皆で協力すればそれなりのことができる。仮置き場ならいくらでも場所はあるはず。政府の対応が遅いのは国民との信頼関係がないからです」と住職は訴える。その心には、寺はもともとは地域社会に対して自治体のような働きをしていたはずだという思いがある。

除染をめぐっては住民と行政とのやりとりが続いた。国は昨年9月に基本方針を示し、「放射性物質環境汚染対処特別措置法」という長い名称の、しかも原発事故の責任を明確にはしていない新法に基づき、高線量の区域は国の責任で除染、それ以外は自治体が行うとした。

今年1月に入って、警戒区域と計画的避難区域の国の除染工程表が発表され、年間被ばく線量に応じて最大で2年後の4月までに完了するとの見通しが出された。だが、最も汚染のひどい「帰宅困難区域」はめどが出されなかった一方、実際に住民が暮らす区域で個人が除染した場合については考慮されなかった。

最近になり、「自分たちの健康を守るために待てない」という住民の強い要望を自治体から受けた国や福島県が、個人の除染費用を助成する姿勢を打ち出したが、市町村の除染計画策定前までとの限定付き。阿部住職は「行政には早く、どこに捨てればいいのか結論を出して住民を安心させてほしい」と言う。