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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

原発さえなければ 14(3/3ページ)

2012年3月31日付 中外日報

常円寺の檀家を含め、住民たちは不安といら立ちの中にいる。全県民約200万人の健康調査を進めている福島県は2月に、事故発生後4カ月の住民の外部被ばく量の推計値を発表した。浪江、飯舘など線量の高い3町村の約1万人では、4割がこの期間だけで平常時の年間限度量の1ミリシーベルトを超えており、最高では23ミリだった。

国連調査によるチェルノブイリ事故の避難民の平均被ばく量20~30ミリに匹敵する。食品などからの内部被ばくもある。人間だけでなく、例えば農産物も同県を中心に30品目が出荷停止になった。

そんな中で早く除染を進め、故郷を自他ともに安心できる所に戻したいと思う人たちがいる。だが一方でこれ以上の危険を避けるためよそへ移りたいと望む住民の声も聞く。どの町でもその対立の溝は深まり、町内集会で怒号が飛ぶ。原発事故が人々の心、つながりまで深く傷つけることは外部には見えにくい。

「この対立から逃げ出したくなる」と告白する宗教者もいる中で、阿部住職は「今、坊さんとは何者かと問われれば『真実に生きる道を示す人』と答えます」と言う。

「何が正しくて何がうそか分からなくなるこの時代に、自らの経験、仏教の学びを踏まえ、自らの行動と言葉でそれを示すことで人々の生老病死の人生に少しでも役に立てれば。大それたことでなくとも、できることを自発的にやらねばなりません」

(北村敏泰)